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青木宣親の記憶「なぜあのときアメリカで“危険な死球”を受けたか?」メジャー経験者3人が語る、プロ野球との“決定的な差”「アメリカは曲がる」
posted2023/07/28 17:06
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
JIJI PRESS
アメリカは曲がる!
どうやら日本に比べ、アメリカの方が変化球は曲がるようなのだ。
Number1076号の「大谷翔平はサイ・ヤング賞も獲れるか?」と、1077号「野球に学ぶ組織論 団結力は、いかにして生まれるのか。」の両特集で記事を担当して、確信に近い証言を元日本人メジャーリーガーたちから聞いた。
【1】青木宣親の証言「日本では見たことないです」
大きなヒントになったのは、最初に取材に向かったスワローズの青木宣親の証言だった。
「マックス・シャーザー、ジェイク・アリエッタ、いろいろな投手の球筋を見てきましたけど、あれだけ曲がる変化球を投げる投手は、日本では見たことないです」
青木はジャイアンツ時代、アリエッタから頭部死球を受けたが、「踏み込んでいたので、避けきれなかった。避けられるようじゃ、アリエッタの球は打てないから」という複数回対戦した打者でなければ分からない、貴重な話を聞けた。
ただし、それは日本人投手の球が曲がらないということではないという。
「アメリカはとにかくボールが曲がってくる。だって、僕が外野を守ってるときでさえ、すごく揺れながら打球が飛んでくるから、キャッチするのはむずかしかった。日本に戻って来てからはそんなことないから、ボールの形状が大きな空気抵抗を生み、変化、揺れを生んでるんだと思う。だから、日本の投手が向こうに行ったら、ものすごく曲がるってことはあり得ると思う」
【2】齋藤隆の証言「メジャーのボールは日本よりも大きい」
そういうヒントをもらったので、次に取材に向かったベイスターズの齋藤隆コーチにその意見をぶつけると、
「それは間違いないです」というストレートな答えがかえってきた。