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男子バレー好調なのに「楽しいと思うことはほとんどない」石川祐希、高橋藍、西田有志…豪華な攻撃陣を操る“強気なセッター”の知られざる葛藤
posted2023/07/10 11:09
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
FIVB
ネーションズリーグで快進撃を続ける男子バレーボール日本代表。11戦目で昨年の世界選手権の覇者・イタリアに、12戦目で世界ランク1位のポーランドに黒星を喫したが、決して力負けではなく、確かな戦術と技術で堂々渡り合った。
早々にファイナルラウンド進出を決め、7月9日時点では暫定ながら強豪国を抑えて1位で予選ラウンドを終えた日本代表の魅力は、じわじわと着実に広がっていた。SNSのトレンドや急上昇ワードで男子バレー関連のワードがピックアップされ、知人との何気ない会話の中でも「最近、男子バレー強いね」と話題に挙がる。
その中でも最も多く耳にしたのがセッター関田誠大(29歳)への賞賛だった。
「やっぱりセッターでしょ。関田選手がすごすぎる。陰のMVPだよ」
「あの選手がすごい」「このプレーがすごい」と着目するポイントはそれぞれ異なる。目が向くのはいわば派手なプレーを披露した選手になりがちだが、たとえバレーボールに詳しくなくても、あれほど伸び伸びとスパイクを放つ攻撃陣を目の当たりにしたら、ごく自然に思う。
これだけ気持ちよく打たせるセッターすごくない?、と。
今の日本代表にある“余裕”は…
ネーションズリーグ開幕から“無傷の10連勝”。日替わりのようにヒーローが生まれ、コートに立った選手が適材適所で活躍。そんな「強さ」を見せつけた日本代表選手たちをもってしても、関田に対する評価と信頼は絶対的なものがある。開幕からの全12試合をすべてスタメン出場するミドルブロッカーの小野寺太志はこう言う。
「選手それぞれの持ち味をコートの中で発揮できるようになっているのは事実です。特にスパイクに関しては、個人個人の打力が上がったり、打ち分けできる技術がついてきた、というのもありますけど、それ以上に大きいのがコートの中に余裕があることです」
目まぐるしく攻守が入れ替わるバレーボールで、なぜ“余裕”が生まれるのか。