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男子バレー46年ぶりの快挙なぜ実現? 石川祐希+優秀セッター&リベロの存在+高橋藍ら若手台頭…まるでドラマみたいな“幸せな好循環”
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byFIVB
posted2023/07/25 17:04
強豪国が集うネーションズリーグにおいて最多得点を叩き出した石川祐希。リーダーシップも際立っていた
そしてそのセッターに1本目を供給する守備の要・リベロ山本は、今大会のベストディガーに輝いた。
位置どりや反応がよく、技術と体の強さがあるため、近くに飛んできたボールはことごとく上げてしまう。ディグやサーブレシーブはもちろん、ブロックフォローでも何度もチームを救った。日本はスパイカーが難しい状況ではリバウンドをとって攻め直す粘り強い攻撃が持ち味だが、それは「フォローしてくれる」という信頼感があるからこそ成り立つ。
エース、司令塔、守護神の3本柱が強固だから、他の選手たちが伸び伸びとプレーでき、3位決定戦で7本のサービスエースを奪った宮浦健人(パリ・バレー)のように、試合ごとにヒーローが生まれ、自分も柱になろうと高橋藍(日体大)のような若手が急成長を遂げている。今の日本代表は幸せな好循環にある。
以前の日本代表には「体格で劣り、個の力でたちうちできない日本は、チーム力で世界に対抗するしかない」という考えがあった。しかし今は、どのチームにも劣らない強い個が揃い、その上にチーム力が備わっている。
「まだここは3位。目標は頂点」
日本は、2009年に各大陸代表と開催国の6チームが参加したワールドグランドチャンピオンズカップで銅メダルを獲得したことがあるが、主要な世界大会でのメダル獲得は46年ぶり。
一時は世界のトップから大きく引き離され、夢のまた夢だったメダルが、現実のものになった。
それでも選手たちは満足しない。イタリア戦直後の中継インタビューで、石川は力強く宣言した。
「まだここは3位。僕たちが目標とするところは頂点なので、そこを狙えるチームになっていくことが僕たちの求めていることです」
不可能はないと教えてくれた日本代表。“頂点”という言葉も、リアルに響いた。
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