大相撲PRESSBACK NUMBER
「一般家庭に比べたら変わってる。でも…」千代の富士の息子が告白…大横綱が過ごした“家族の時間”「さりげない愛情を感じていました」
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph by提供:秋元剛
posted2023/07/28 11:00
幼い頃の剛さんと千代の富士。多忙を極める日々の中で、父は“家族の時間”も大切にしていたという
「千代の富士の息子」が背負った宿命
「これで区切りがついたのかな」
会場でその姿を見届けた秋元さんの胸に湧き上がってきたのは、そんな不思議な感慨だった。
「その時、僕は29歳でした。大相撲は23歳(アマチュアで特定の実績がある場合は25歳)で入門の年齢制限があるんですけど、普通の人はそんなこと知らないじゃないですか。だから20代後半になってからも『今からでもお相撲さんになれるよ』と言われ続けていました。でも、あの時、父の土俵入りを見て『ああ、これでやっと終わるのかもしれない』という気持ちになったんです」
大横綱として生きてきた父と同様に、秋元さんもまたその息子としての宿命を背負い続けてきた。還暦土俵入りと秋元さんの入門に特に関連があるわけではない。あるわけではないが、秋元さんの心のつかえのようなものが、千代の富士が四股を踏むたびに溶け落ちていった。
父子にとって大きな区切りとなる行事が終わった。ところが、還暦土俵入りの翌週、予想だにしていなかったことが父の身に起こったのだった。
〈#2、#3へ続く〉
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