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“ご意見番”武蔵丸が愛ある苦言「今の豊昇龍に大関の力はない…叔父さんの朝青龍とは全然違うよ」「行司さんの“まわし待った”問題にもひと言」

posted2023/07/26 17:03

 
“ご意見番”武蔵丸が愛ある苦言「今の豊昇龍に大関の力はない…叔父さんの朝青龍とは全然違うよ」「行司さんの“まわし待った”問題にもひと言」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

名古屋場所で初優勝した豊昇龍(24歳)。元横綱朝青龍は叔父にあたる

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武蔵川光偉

武蔵川光偉Musashigawa Mitsuhide

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 この名古屋場所は、ひさしぶりにトックベッツ(=特別の意)に面白かったんだよなぁ。新大関の霧島が3日目まで休場し、代わって横綱照ノ富士が4日目から途中休場。大関貴景勝は全休だし、どうなることかと思ったけれど、豊昇龍、大栄翔、若元春の3関脇が大関取りに挑むことが話題にもなっていた。19歳の最年少幕内力士の(落合改め)伯桜鵬も注目されていたしね。見どころはたくさんあったよ。

 特に、今場所は前頭筆頭のベテラン力士、錦木が本当に良かったんだ。初日は霧島の休場で、不戦勝のラッキー。でも、それからは照ノ富士から金星を奪い、豊昇龍、大栄翔、若元春、阿炎と6連勝。上位陣みんなの調子を錦木が狂わせちゃったんだよね(笑)。後半で4連敗して、最終的には10勝5敗。本人も「前半は良かったけれど後半はボロボロでした……」なんて言ってたけれど、初土俵から103場所という歴代最遅記録の三賞・殊勲賞受賞で、めでたいよ。それこそ優勝してほしかったくらいだけれど、最後の最後でスタミナ不足だった。15日間、後半はスタミナに余裕ある人が勝つんだよ。錦木は「何も考えてない」のが良かったの。いや、いい意味でだよ(笑)。横綱大関のプレッシャー、大関昇進がかかるなどの邪念がないからってこと。32歳ってまだまだこれからだよ。脂がのる時期で、今は中トロだね。これから大トロになれるよ!

「正直、今の豊昇龍に大関の力はない」

 北勝富士との優勝決定戦を制して、大関昇進を決めた豊昇龍だけど、僕に言わせれば相撲にキレがなかった。勝ってはいても「強い!」という相撲じゃなくて、ピンと来ない相撲ばかりだったんだよね。今は、良くも悪くも誰が優勝するかわからないレベルの相撲界だから、これで優勝して大関に昇進しちゃうのって、逆にこれからのことが心配になってしまう。数字じゃなくて内容が大事なんだよな。正直いって今の彼に大関の力はない。先が厳しいよ……。

 体が大きくないし、当たったり押していったりの圧力――「力」と「型」がない。ハッキリした勝ち方を持っていなくて、なんとなく勝っている感じなんだ。もちろん足腰はいいんだけれど、豊昇龍の相撲ってケガしそうで一番怖いの。見ているこっちがヒヤヒヤしちゃうんだよ。今持っている力に加え、よりスピードを磨いたり、当たり方を考えてさらに強く当たれる稽古をすれば、もっと楽に勝てるようになる。叔父さんの朝青龍とは全然違うよ。今は比べものにならないなぁ。

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