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千代の富士の長男が語る「筋肉美、肉体美」 SNSで“バズった”大横綱の家族が伝えたい思い「千代の富士を忘れないでいてもらいたいんです」
posted2023/07/28 11:02
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph by
Takuya Sugiyama
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「年齢を重ねるごとに父に似ているねと言われる機会が増えました。特にこういったスーツを着て髪の毛を上げていると」
拳を握り、太い眉にグッと力を込めて土俵に立つ姿は確かに千代の富士の面影を感じさせる。この日締めていた薄いパープルのネクタイは父がつけていたものだという。
千代の富士の長男、秋元剛さんは現在、株式会社秋元の取締役として家族とともに千代の富士のライセンスビジネスを運営・管理し、アパレルブランドとの協業なども行っている。
「自分はファッション業界で仕事がしたくて、文化服装学院で服飾の知識を学んだのち、ファッション誌の編集部で営業と編集を経験し、その後はアパレル会社に転職してショップのディレクションやPRに携わる仕事をしてきました。それが巡りめぐって、千代の富士に関わる仕事、大きく括るとお相撲に関わる仕事をする事になるとは夢にも思っていませんでした。でも、相撲をやらずに違う業界で経験を積んできたことが役立っているのでそういった星回りだったのかなと(笑)」
「生前、父がやりたいと言っていたことを」
力士になることを期待されるのが嫌で、かつては一線を引いていた相撲の世界。ここに至るには長い時間が必要だった。父の死もひとつの契機となったのかもしれない。
「生前、父がやりたいと言っていたことがいくつかあって、それを形にしていきたいというのが会社の、家族の一つの目標なんです」
母、姉の優、モデルとして世界的に活躍する妹の梢、家族4人で意見を交わしながら、父の功績を後世に伝えていくことを目指している。
「相撲って日本のカルチャーの中でも、特に海外の人たちからの関心が高いと思うんですよ。でも閉鎖的な業界だと思うので、相撲のプロダクトって世の中にあまり出回っていないですよね。様々なカルチャーと親和性のあるファッションブランドやクリエイターの方達と一緒に千代の富士のプロダクトが作れたら、ファッション性が高いだけではない意味があるもの作りができるんじゃないかと思ったんです」
例えばアパレルブランド「ケイタ マルヤマ」とコラボしてファッショニスタにも響くような刺繍ニットやポップなグラフィックTシャツなどのコレクションを展開したり、父が生前交流のあった画家・瀧下和之氏が描いた千代の富士の画を基にフィギュアを作ったり――。