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26年前、日米騒然のメジャー挑戦…伊良部秀輝とは何者だったのか?「記者の名刺を目の前で破り捨て…」私が伊良部から“呼び出された日” 

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水次祥子

水次祥子Shoko Mizutsugi

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posted2023/07/06 11:01

26年前、日米騒然のメジャー挑戦…伊良部秀輝とは何者だったのか?「記者の名刺を目の前で破り捨て…」私が伊良部から“呼び出された日”<Number Web> photograph by JIJI PRESS

1997年、ヤンキース入団時の伊良部秀輝

ニューヨーク市長まで…熱狂の入団時

 ニューヨークでは「日本のノーラン・ライアン」が来ると大きな期待と注目を集め、大変な歓迎ぶりだった。いよいよヤンキースタジアムでメジャーデビューを迎えるためニューヨーク入りした伊良部は、7月9日にマンハッタンにあるシティホールでルディ・ジュリアーニ市長からティファニー製の水晶でできたりんごを贈られて歓待され、球場入りするときには選手入口に200人近いヤンキースファンが詰めかけていた。「ようこそニューヨークへ」と書いたボードを掲げるファンの姿が見られ、「頑張れ」の掛け声も何度も飛んだ。その日球場に詰めかけた報道陣は、テレビカメラだけで20台にも上り、球団史上でも恐らく当時の過去最多。まさに「イラブ・フィーバー」だった。

 7月10日、本拠地でのタイガース戦でマウンドに上がったメジャーデビュー戦は、上々の出来だった。初回から先頭を内野ゴロに打ち取った後は2者連続で三振を奪う順調な立ち上がりで6回2/3を5安打2失点、9奪三振と期待通りの投球で初登板を白星で飾っている。

 だがその後のシーズンは苦戦が続き、苛立ちを募らせた伊良部はトラブルメーカーとなった。デビューから3試合目の登板となった97年7月20日の敵地でのブルワーズ戦は、7回途中7安打6失点。降板する際に、ブーイングを浴びせてきたスタンドのファンに向かってツバを吐き、大きな騒動になった。デビュー4戦目のマリナーズ戦では6失点で2回で降板し、直後にマイナーでの再調整を言い渡された。

【次ページ】 メディアと対立…筆者が呼び出された日

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