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大谷翔平が過ごした“歴史的な6月”のウラ側…「勝ったらいいなっていう、もうそれだけですね」月間15本の大爆発はこうして生まれた
posted2023/07/01 17:01
text by
阿部太郎Taro Abe
photograph by
Nanae Suzuki
2023年6月、自己最多を更新する月間15本のアーチをかけた大谷翔平。シーズンの約半分を終えて、投手として7勝をマークしながら、打率.310(ア・リーグ4位)、30本塁打(同1位)、67打点(同1位)と三冠王も視野に入る驚異的な成績を残している。番記者の阿部太郎氏が、過去と現在の大谷の発言から“大爆発の理由”を探った。
「切なさすら漂っていた」昨年6月の大谷翔平
2022年6月21日。エンゼルスの大谷翔平は1試合2発を放つなどメジャー自己最多の8打点をマークした。そして、翌22日には自己最多の13三振を奪って6勝目を挙げた。
「伝説の2日」。そう名づける米メディアもあった。常識外の活躍を称える見出しが日米で躍った。
一方で、チームは既に崩壊していた。ジョー・マドン監督は解任され、フィル・ネビン監督が電撃的に指揮を執ることになったが、ムードは全く上がらない。
大谷が8打点を挙げたのは、エンゼルスの崩壊を象徴する試合だった。
9回に大谷が劇的な同点3ラン。打った後、人差し指でベンチを差し、士気を上げようと必死だった。
しかし、この一発でさえ、勝利への道筋をつけることはできなかった。延長11回に救援が打たれて万事休す。
「8打点を挙げて勝ち切れなかった気持ちは?」
そう問われた大谷は「難しいですね。ホームランが出た打席も、犠飛で終わった打席も、欲を言えば、もっともっといい打席に……。特に犠牲フライの打席は安打でつなげれば、もっと点はとれた。そういうところもひとつ反省かなと思う」と答えた。
1試合2本の3ランも及ばず、犠飛の打席について反省の言葉を口にした。大谷のコメントには、切なさすら漂っていた。