吉田正尚とはどういう選手なのか。試合中のプレーについては、契約するまでに徹底的に分析、評価されているに違いないが、そこに至るまでのルーティンや普段の性格、趣味、好きなものなどについて、ミーティングでは細かく尋ねられ、そのつど辻コーチは丁寧に答えた。

「好きなものは、例えば時計とか車とか。そういうことを聞いておいて会話のきっかけにしたかったんでしょうね。あとは性格について。チームに対してどんな姿勢なのか。アグレッシブなのか、元気があるのかとか。あいつは穏やかなので、一見元気がないというふうに見られるかもしれないけど、本当に野球には一生懸命取り組むし、全力疾走もするし、チームが勝つためにやろうとしていることに対して必死にやってくれるよと伝えました。

　監督が『こうやろう』と言ったらそれに従ってやるし、チームが勝つために動いてくれる人。それは自信を持って言えるし、大丈夫ですよと言いました。あまりはしゃいだり、派手なガッツポーズをしたりすることはないけど、闘争心はあるし、やるときはやってくれる選手ですよと。メジャー行ったら急にガッツポーズしとんな、と思ったけど（笑）」

全力プレーはMLBの舞台でも健在　©︎Getty Images

打撃練習のルーティンも共有

　打撃については、「数多く長時間打つということはあまりせず、決められた数をしっかり振るという感じだけど、そこ（フリー打撃）にいくまでの準備の段階のルーティンがあって、いつもティー打撃を6〜8種類ほどやっていました」とそのティー打撃の詳細を伝えた。

打撃練習のルーティンなど、細かい部分までヒヤリングが行われた　©︎Getty Images

「彼は自分のやりたいことがちゃんと決まっているので、こちらから、ああせえこうせえと言う必要がない、本当に大人の選手。技術のことはこちらがこと細かく言わなくても、自分でちゃんとアプローチしてくる、という話をすると、向こうの人たちも『やっぱりそうだよねー』という反応でした」

　オリックスでは技術面よりも、いかに怪我を防ぐかに注意を払っていたという。

「動きが悪かったら（試合途中で）引っ込めたり、練習量を落としたり。コンディショニングを重視していました」

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