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J開幕で大ブーム「ビスマルクのお祈りポーズ」実は日本でやり始めた?「カズはよく僕の家で寝てた(笑)」53歳の今、明かすウラ話
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byTakao Yamada
posted2023/07/02 11:01
ビスマルクと言えばお馴染みの「お祈りポーズ」。実はJリーグに来てからのゴールセレブレーションだった?
「『監督は日本人(注:松木安太郎)だが、チームスタッフにはブラジル人が多い。ペレイラ、ラモス(瑠偉)らブラジル生まれの選手、カズ(三浦知良)のようにブラジルでプレーしていた選手がおり、Jリーグで最もブラジル的なプレーをするチーム』と聞いていた」
日本の試合を見て「僕には同じことができない」と思った
――日本と日本人についてのイメージは?
「日本は技術が進んだ先進国で、日本人は真面目で働き者、というイメージ。主な宗教は仏教と神道で、キリスト教徒は多くないと聞いていた。
僕の家族は代々、キリスト教福音派の信者で、僕も日曜日は必ず教会へ行ってミサにあずかっていた。だから、『日本人にイエス・キリストのことをもっと知ってもらいたい』という気持ちもあった」
――宣教師のようですね。
「まあ、それほど大げさなものじゃないけどね」
――日本へ着いて、実際にヴェルディの試合を見た感想は?
「7月中旬(注:19日)、東京へ到着し、その夜にアストンビラ(イングランド)との親善試合を観戦した。
ヴェルディの選手たちは、技術がしっかりしていて、スピードもある。何より驚かされたのは、その運動量だった。90分間、誰もが走り回る。ブラジルとは、プレーのリズムとスタイルがまるで違う。『僕には、同じことはとてもできない。契約をキャンセルしてブラジルへ帰ろう』と思った。
ところが、フィジカルコーチのルイス・フラビオは『大丈夫だ。15日で、君のコンディションをJリーグ仕様に仕上げるから』と言うんだ。そして、その通りになった。コンディションを整えて7月末、セカンドステージの2試合目から試合に出始めた。チームのプレースタイルにも、すぐに馴染んだ」
――ヴェルディでは、カズと再会します。
「ブラジル時代はウイングだったけど、日本ではストライカーに変貌していた。とても成長していて、チームのエース。『僕の手助けが必要なら、何でも言ってくれ』と申し出てくれて、とても有難かった」
――当時のヴェルディを取り巻く雰囲気をどう感じていましたか?
「リーグ随一の人気チームで、選手たちはまるでロックスター。女性ファンが多かった。ブラジルの観衆は大半が男で、殺伐とした雰囲気なんだけど、日本のスタジアムには家族連れや女性が多い。ブラジルとは全く違っていた」
「お祈りポーズ」が生まれた瞬間とは
――7月31日ガンバ大阪戦でデビューし、チームの勝利に貢献。次節で鹿島を倒すと、8月7日のジェフ市原戦で移籍後初ゴール。このとき、以後、あなたのトレードマークとなる「お祈りポーズ」を披露したのですね。