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J開幕で大ブーム「ビスマルクのお祈りポーズ」実は日本でやり始めた?「カズはよく僕の家で寝てた(笑)」53歳の今、明かすウラ話
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byTakao Yamada
posted2023/07/02 11:01
ビスマルクと言えばお馴染みの「お祈りポーズ」。実はJリーグに来てからのゴールセレブレーションだった?
「僕が出場し始めてから2連勝していたんだけど、この試合ではジェフに先制された。でも追いついて、終盤に僕が逆転のゴールを決めた。『これで勝てる』と思い、とても嬉しかった。そして『これほど素晴らしい国、素晴らしいリーグ、素晴らしいクラブでプレーできて、僕は本当に幸せだ。神様のお導きで日本へ来ることになって、本当に良かった』と思った。すると、気が付いたら跪き、あのポーズ(注:両方の眉の間を右手の指でつまむ)をしていた。それまで一度もやっておらず、自然に出たポーズだった」
――それでは、実は「お祈り」ではなく「神への感謝」のポーズなんですね。
「ああ、そこは少し誤解があったようだね。このポーズには大きな反響があった。大勢のファン、特に子供たちが真似をしてくれたのが嬉しかった。僕が神様を信じ、いつも神様と共にいることを理解してくれたんじゃないかな。これは、日本へ来る前からの僕の願いでもあったからね」
カズは僕の家のソファや床で寝ていることが(笑)
――生活面では、すぐに順応できましたか?
「母が同行してくれていて、練習場があった読売ランドの近くのアパートに住んだ。食事は母が作ってくれたから、問題なかった。また、何か困ったことがあれば、ヴェルディのスタッフが親身になって手助けしてくれた」
――カズがよくあなたの家へ来て、お母さんが作るブラジル料理を食べていったそうですね?
「カズもそうだし、他の選手も来ていた。みんな母の料理が大好きで、沢山食べていってくれた」
――カズは、満腹になるとソファで寝ていたとか……。
「ソファでもそうだし、床で寝ていたこともあった(笑)」
――当時のJリーグの運営と試合のレベルをどう思いましたか?
「運営面は、申し分なかった。選手たちは運動量が非常に多く、スピードがあった。技術レベルも悪くなかった」
――1993年、あなたはヴェルディの攻撃の中心を担います。ナビスコカップ決勝の清水エスパルス戦で同点ゴールをあげて優勝に貢献し、大会MVPに輝いた。Jリーグは、前期を鹿島アントラーズが、後期をヴェルディが制覇し、両者がチャンピオンシップで対戦。ヴェルディがカズとあなたの得点で先勝し、第2戦を引き分けてJリーグ初年度の王者となりました。
「前期は少し出遅れたけど、後期に盛り返し、チャンピオンシップでもいい試合ができた」
日本で幸福な毎日なのだから、W杯に出られなくても
――当時のヴェルディの選手は、連れ立って六本木や渋谷へ繰り出すことも多かったようですが…。