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千代の富士を知らずに角界入り…“サンクチュアリ猿谷”を演じたAmazon配達員が語る力士時代の後悔「タニマチが…当時の俺をぶん殴りたい」
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byYuki Suenaga
posted2023/06/26 11:04
力士俳優として歩み始めた今も配達業務を続ける澤田賢澄さん。『サンクチュアリ』で35kgも増量したが、「仕事で動いているので身体は軽い」
引退から8年ほど経った2020年、地元の伊賀市に戻って居酒屋をやっていた澤田の元にオーディションの知らせが届いた。
『タイトルは明かせませんが、相撲を題材としたドラマが某大手配信サービスより配信されます。そのキャストを集めています』
まず思ったのは、「なんだ、これ!?」だった。
「最初は怪しいなとも思いましたよ(笑)。ただ、制作会社と担当者の名前が書いてあったので、ググってみたら実在してたんです。じゃあ電話してみようと」
おりしもコロナ真っ最中で、店は開店休業状態。客は来なくても家賃はかかり、2人の従業員の給料も払わなくてはいけない。ドラマの拘束期間は1年以上という異例の長さだったが、その間も毎月ギャラが支払われるという条件は、先の見えないコロナ禍においてはむしろ好都合だった。
クランクアップから1年「本当に配信されるの?」
そんなふうにして始まったサンクチュアリの長期に渡る撮影が終わり、果たして新たな道が切り拓けたのかどうかもその時点ではよくわからなかった。
「これだけ頑張ったんだから、少しはヒットしてほしいと思ってました。でも、本当に配信されるの?っていう状態が1年くらいあったんです(笑)」
澤田の撮影が終わったのが昨年1月。配信されたのが今年5月。だから撮影後の制作作業に1年以上かかったことになる。
再び宙ぶらりんとなったその間、澤田は配信開始を待つと同時に新たな一歩も踏み出した。