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白鵬が感動、稀勢の里からLINEが…!『サンクチュアリ』泣ける演技が話題の“元力士”が語ったリアル舞台裏「トイレで尻拭く以外はガチ」
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byKensho Sawada
posted2023/06/26 11:02
相撲ドラマ『サンクチュアリ-聖域-』で猿谷役を演じた澤田賢澄さん(37歳)。白鵬や同期の稀勢の里をはじめ、力士仲間からも大きな反響があったという
多くの大相撲関係者も観たようで、リアクションをくれた横綱は稀勢の里だけではなかった。
「たまたま呼ばれて行った席に白鵬さんがいて、猿谷!って呼ばれて驚きました。白鵬さんは『てめえの相撲はな、ただの点なんだよ。点結ぶためにな、四股踏め』っていう猿谷のセリフが好きらしくて、その場で言わされました(笑)」
そんなふうに名だたる横綱たちまで共感してしまうリアリティが作品には随所に詰まっている。
澤田が撮影現場でまず驚いたのは、セットの精巧さだった。スタジオ内に作られた相撲部屋は玄関、稽古場、ちゃんこ場と実物と見まがうほど。大相撲の聖地である両国国技館も大きな体育館の中に忠実に再現された。土俵だけでなく、花道の形状や客席の作り、照明の配置に至るまで、元力士としてちょっとした懐かしさを覚えるぐらいの完成度だった。
「トイレで尻を…」以外は全部リアル
部屋での稽古や生活シーンにも相撲取りであれば思わず納得のエピソードが満載だった。例えば、猿桜が兄弟子に塩と砂を混ぜたものを食わされるシーン。澤田は「僕の現役時代には当たり前にありました」と大きくうなずいた。
「僕がいた頃の九重部屋って稽古中は本当にシーンとしていて、まず声が聞こえないんです。力士のぶつかる音、四股踏んでる音しか聞こえない。そこでハアハア言ってると、うるせえよって砂を食わされました」
劇中で猿桜はその砂と塩をごくりと飲み込んでしまうのだが、実際のところはどうしていたのだろう。
「さすがにのみ込まずにベエ!って吐き出してました。でも、稽古中に口をゆすぎにもいけないので、口の中がじゃりじゃりしたまま稽古を続けていました。いやあ、砂ならまだいいんですよ。塩は口の中の水分を全部持っていかれるんで。砂だけだったら全然、塩はもうしんどくて無理でした。ほぼ毎日やられてましたね、はははは」
ただし、トイレで用を足した兄弟子が弟弟子に尻を拭かせるのだけは「あれはないっす。都市伝説的なもんでしょう」と笑い飛ばした。
「でも、それ以外は違和感ない。『ごっちゃんです』とか『デレっとすんな』ってお相撲さんの使う言葉も入ってますしね」