相撲、この技、この力士BACK NUMBER
元横綱稀勢の里 二所ノ関親方が徹底解説
第十回:琴欧洲「長い腕と直線的なもろ差し」
posted2023/06/11 09:00
text by
二所ノ関寛Hiroshi Nishonoseki
photograph by
Takayuki Ino(Illustariton)
どうすれば琴欧洲関に勝てるのかを未だに考えてしまいますが、なかなか有効な策が思いつきません。対戦成績は私の18勝29敗と、大きく水をあけられていました。
琴欧洲関に対して一番良い相撲が取れたのは、幕下で初対戦した時だったかもしれません。私が17歳で、琴欧洲関が20歳。私の方がデビューは4場所早く、ブルガリアからやって来た力士が伸び盛りだという評判を聞いて「今のうちにぶっ潰す!」と、鼻息荒く挑んだのです。私は気合十分、立ち合いで左からのおっつけで右にずらすと、右のど輪でガツンと行き、青天井を見せてやりました。