オリンピックへの道BACK NUMBER
「男性と女性で感じ取り方が違う」ミックスダブルス松村・谷田組が直面した“男女の差”…試合後のホテルで180分以上の激論「カーリングが楽しくない」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2023/06/24 17:01
世界選手権で銀メダルを獲得した松村千明・谷田康真組。日本のミックスダブルス初の快挙から約半年前に、本音をぶつけ合い衝突した反省会があった
「そんなにストレートにものを言っていいんだな、オブラートに包む必要は全然なかったんだなって私は思いました。あれだけはっきりと伝えるというのは、たぶん、女子の選手には少なくて、わりとオブラートに包んだまま、こうしてほしい、みたいな感じだと思うんですけど、男子の選手ははっきり、これはこうしてほしい。これはダメ。これはいい、でよかったんだ、と。受け取り方の問題でもあるとは思うんですけれども、けっこう刺激が強いというか、そんなに強く言われるんだなってびっくりしました」
次の遠征からはよくしゃべるようになりました(笑)
帰国してそれぞれの生活の中でメモを頼りに思い起こし、それぞれに咀嚼した。およそひと月後、2人は会って話をした。
「正直に話しました。松村選手もすごく冷静に時間をおいてメモを見返して考えて話してくれました。ある意味、時間が解決してくれたところはあったのかなと思います」(谷田)
「まあ、ぶつかり合った話し合い自体も、お互いによくしていこうというミーティングだったので。次の遠征からはよくしゃべるようになりました(笑)」(松村)
早く結果を出したい、と勝ち急いでいた
谷田は衝突した当時の心境を振り返る。
「ダブルスに軸足を置いて活動を始めたことが、世間的に注目されていなくてもカーリング界での注目は集めていましたし、早く結果を出したい、優勝したい、と勝ち急いでいた部分があったのかなと思います」
ミックスダブルスで結果を残したいと思い、それぞれに覚悟と決意をもって臨んだ。そこにかわりはない。だからこそ生じた衝突に対しても、それぞれがより良いペアにしたいと思い、関係を修復することができた。ぶつかり合うことでより強固なチームとなった2人は、2023年1月の海外遠征を経て、2月の日本選手権で優勝を果たす。
そして、日本代表となった2人は2023年4月、世界選手権を迎える。<続く>