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「男性と女性で感じ取り方が違う」ミックスダブルス松村・谷田組が直面した“男女の差”…試合後のホテルで180分以上の激論「カーリングが楽しくない」 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byJIJI PRESS

posted2023/06/24 17:01

「男性と女性で感じ取り方が違う」ミックスダブルス松村・谷田組が直面した“男女の差”…試合後のホテルで180分以上の激論「カーリングが楽しくない」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

世界選手権で銀メダルを獲得した松村千明・谷田康真組。日本のミックスダブルス初の快挙から約半年前に、本音をぶつけ合い衝突した反省会があった

「昨シーズンは海外遠征に行く前に早めに合流して練習して遠征に行ったり。一緒にいないときは一人で、ほぼ基礎の練習をしていました。私の場合、カーリング部のコーチとして両角(友佑)コーチ(2018年平昌五輪8位入賞)がいてくださるので、見てもらったりもしていました」

 だが、ほんとうの壁は、強化計画や練習環境を整えた先に待ち受けていた。

 松村と谷田は2022年9月、海外遠征に出発する。カナダで2つの大会に出場した。

 最初の大会で優勝を逃し、迎えた2つ目の大会でのひとことを谷田は鮮烈に覚えている。

「楽しくない」「なんでそんな風に…」

「『カーリングをやってて楽しくない』って言われました」

 松村いわく、試合を終えてホテルに戻ったあと、谷田に誘われて話し合う機会を持ったという。きっかけはどうあれ、両者ともに抱えているものがあったことが明らかになったのがその話し合いであり、その中でのひとことが「楽しくない」だった。

「戦術、試合中のコミュニケーション、それらを含めて初めてぶつかり合ったのがそのときでしたね」

 話し合いは3、4時間に及んだ。

「戦術的なところ、試合中のことの話が多かったんですけれども、その話をしている中で松村選手に『楽しくない』と言われましたし、実際プレーの中でもそういう雰囲気でプレーしているなって感じていました。『今後よくしていくための話をしているのに、なんでそんな風に俺のせいで楽しくないって言われなきゃいけないんだ』ってちょっと逆切れした記憶があります。ほんとうに空気も悪くなって。でも、もう帰国する直前だったので、修復するまでは行かずに帰国して、僕は北見に戻りましたし、松村選手は軽井沢に戻りました。距離的にも離れた期間がありました」

 離れたのは、距離だけではなかったかもしれない。

 でも、そのままではなかった。

感情はぶつかり合っていたけど…

 話し合う中で、2人はそれぞれにメモをとっていた。谷田は帰国してからそのメモを見返した。

【次ページ】 松村が気づいた“ミスコミュニケーション”

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