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MLB強打者に聞くメッツ千賀滉大の“お化けフォーク”はなぜ打てない?「フォークはもちろん素晴らしい球だが…」「1年目のタナカと似てる」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2023/06/02 17:03
お化けグッズが発売されるなど、ニューヨークの注目度が高まっているメッツ千賀滉大
千賀のここまでの成功の最大の要因となっているのは、やはり“お化けフォーク(英語ではゴーストフォーク)”の精度の高さに違いない。フィリーズ戦でも全100球中29球を投じたフォークのうち12が空振り、4ファウルと驚異的な武器になっていた。シティフィールドでは早くも様々な“お化けグッズ”が売り出されていることからも、その浸透ぶりが理解できるはずである。
「いい速球があるから、決め球が生きる」
この決め球の話をするとき、千賀本人をはじめ、多くの関係者が「質の良い真っ直ぐがあればこそ」と述べているのも興味深いところではある。5月31日のゲームで千賀と初対決したフィリーズの強打者ニック・カステラノスも同じ意見だった。
「千賀の速球は98マイルに達し、伸びもある。その球に対応しようと思えば打席の中で早く始動しなければいけない。そこにキレのいいフォークボールが来ると、打つのは極めて難しくなってしまうんだ。彼のフォークボールはもちろん素晴らしい球だが、真っ直ぐが91、92マイル程度だったら捉えるのはより容易だったはずだ。いい速球があるからこそ、決め球が余計に生きてくるんだと思う」
千賀との初対戦では3打数無安打1三振に終わったカステラノスだが、4回表の第2打席ではセンターに大飛球を打っている。左中間フェンス頭上に放ったこの打球はブランドン・ニモ中堅手の超美技で好捕されたものの、この打席ではカットボールを綺麗に捉えており、千賀も肝を冷やしたに違いない。
このような好勝負を繰り広げたメジャー通算186本塁打のスラッガーの言葉には説得力がある。そして、この日は快刀乱麻の好投を見せた千賀は、カステラノスにある投手を思い出させたのだという。