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オークス・リバティアイランドに通じる「3頭の名牝」…若き武豊とシャダイカグラ“伝説のレース”「完璧な競馬をされても、別次元の脚で逆転する」 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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posted2023/05/20 11:04

オークス・リバティアイランドに通じる「3頭の名牝」…若き武豊とシャダイカグラ“伝説のレース”「完璧な競馬をされても、別次元の脚で逆転する」<Number Web> photograph by Photostud

桜花賞では他馬を圧倒する強さを見せたリバティアイランドと川田将雅。オークスでも1番人気が想定される

出遅れは意図的? 武豊本人が明かした答え

 数年後、武にあの出遅れが本当に意図的だったかどうか訊くと、こう答えた。

「実は、ゲート入りする直前まで、先行して内に切れ込むか、後ろから行くか、迷っていたんです。でも、馬が極限まで仕上げられて入れ込んでいたので、まともなスタートは切れないだろうと、先行策を諦めました。それで無理せず、ゆっくりとゲートから出しました。意図的というより、覚悟の出遅れ、ですかね」

 せっかく周りが「伝説」にしてくれたのに、自分から否定する必要はないと思い、あえて多くを語らずにいたのだという。

 34年後の今、あれがデビュー3年目の若手の騎乗だったことを考えると、やはり「伝説」と言っていいように思う。

 シャダイカグラの桜花賞もまた、2着のホクトビーナスが完璧なレースをして「勝った」と思われたところを差し切ったものだった。

オークス「1倍台の人気馬」で勝てたのは“半数”

 リバティアイランドは、オークスではほぼ確実に1倍台の支持を集めるだろう。

 1984年のグレード制導入以降、オークスで1倍台の支持を集めた馬は、1986年メジロラモーヌ(1着)、87年マックスビューティ(1着)、89年シャダイカグラ(2着)、2001年テイエムオーシャン(3着)、03年アドマイヤグルーヴ(7着)、04年ダンスインザムード(4着)、05年シーザリオ(1着)、09年ブエナビスタ(1着)、14年ハープスター(2着)、18年アーモンドアイ(1着)、20年デアリングタクト(1着)、21年ソダシ(8着)の12頭。勝ったのは半数の6頭と、厳しいデータが出ている。

 シャダイカグラも、リバティアイランドと同じ川田将雅が騎乗したハープスターも2着に惜敗している。

 重圧のかかるなか、リバティアイランドは史上17頭目の牝馬クラシック二冠馬となるか。個人的には、このまま「一強路線」を突っ走ってほしいと思っている。

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