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オークス・リバティアイランドに通じる「3頭の名牝」…若き武豊とシャダイカグラ“伝説のレース”「完璧な競馬をされても、別次元の脚で逆転する」
posted2023/05/20 11:04
text by
島田明宏Akihiro Shimada
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Photostud
今年のクラシック戦線は、牝牡ともに「一強」をめぐる争いになっている。
今週末の第84回オークス(5月21日、東京芝2400m、3歳牝馬GI)で不動の主役と見られているのは、桜花賞を直線一気の競馬で圧勝したリバティアイランド(父ドゥラメンテ、栗東・中内田充正厩舎)である。
リバティアイランドが桜花賞の直線で見せた末脚は凄まじかった。序盤は進んで行かず、4コーナーでは16番手。とても届かないような位置から、上がり3ハロン32秒9というメンバー最速の末脚で差し切り、昨年の阪神ジュベナイルフィリーズにつづくGI2勝目を挙げた。
ダノンプレミアムやセリフォスなど数々のGI馬を管理してきた中内田調教師が「ここまでの馬は初めてかも」とコメントするほどの逸材。はたして、下馬評どおり、リバティアイランドの、リバティアイランドによる、リバティアイランドのためのオークスになるだろうか。
リバティアイランドに通じる「3頭の名牝」
リバティアイランドの突出ぶりは、近年では、2018年のアーモンドアイ、2020年のデアリングタクトに通じるものがある。
3頭とも、桜花賞をメンバー最速の末脚で後方から差し切った。共通点がもうひとつ。アーモンドアイの桜花賞ではラッキーライラック、デアリングタクトの桜花賞ではレシステンシア、リバティアイランドの桜花賞ではコナコーストといった2着馬が完璧な競馬をして「勝負あった」と思われたところで、これら3頭が別次元の脚で逆転し、他馬陣営や観客を驚かせた。
見る者たちの度肝を抜いた桜花賞として「伝説」になっているのが、1989年、武豊のシャダイカグラが制した一戦である。
シャダイカグラは1986年3月23日、門別の野島牧場で生まれた。父リアルシャダイ、母ミリーバード(母の父ファバージ)という血統。伯楽として知られる伊藤雄二調教師(当時)の管理馬となった。
1988年6月19日の新馬戦で柴田政人を背にデビューして2着となり、7月3日の新馬戦で初勝利を挙げる(当時は同一開催の新馬戦に複数回出走できた)。
3戦目、初芝となった同年10月のりんどう賞から武が主戦となって勝ち、京都3歳ステークスも1着。3歳牝馬ステークスは2着に敗れるも、1989年の年明け初戦となったエルフィンステークスを勝ち、つづくペガサスステークスで牡馬相手に重賞初制覇。押しも押されもせぬ「一強」の主役として牝馬クラシックに臨むことになった。