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浜中俊よ、なぜ右鞭を連打した。
斜行で長期騎乗停止も降着なし。

posted2016/11/21 11:15

 
浜中俊よ、なぜ右鞭を連打した。斜行で長期騎乗停止も降着なし。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

左にヨレたミッキーアイルに押し出される形で、ネオリアリズム、サトノアラジン、ディサイファ、ダノンシャークが衝突した。

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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Yuji Takahashi

 主役不在の大混戦となった第33回マイルチャンピオンシップ(11月20日、京都芝外回り1600m、3歳以上GI)を制したのは、浜中俊が騎乗する3番人気のミッキーアイル(牡5歳、父ディープインパクト、栗東・音無秀孝厩舎)だった。勝ちタイムは1分33秒1。頭差の2着は2番人気のイスラボニータ、3着はネオリアリズム。1番人気のサトノアラジンは5着だった。

 外目の16番枠から出たミッキーアイルは、好スタートを切ってすんなりとハナに立った。ライアン・ムーアのネオリアリズムを引き連れて逃げ、直線でもしぶとく伸びて後続を振り切り、逃げ切った。ゴール前で外に斜行し、ネオリアリズム、サトノアラジン、ディサイファ、ダノンシャークの走行を妨害して審議になるという後味の悪さは残ったが、馬の強さは讃えるべきものだった。走行妨害がなくても、被害馬が加害馬(ミッキーアイル)より先に入線したとは認められなかったため、降着にはならなかった。

 マイルチャンピオンシップを逃げ切ったのは1991年のダイタクヘリオス以来2頭目となる。

前が潰れてもおかしくないペースだった。

 逃げ馬には厳しいレースで、勝ち切ることができたのはなぜか。

 前後半のラップを見ると、前半4ハロンが46秒1、後半4ハロンが47秒0。いわゆる前傾ペースなので、普通なら、差し・追い込み馬に有利になるはずだが、先行勢が上位を占めている。

 それはつまり、逃げ・先行馬が道中、自分たちが潰れてもおかしくないペースで飛ばしながら、最後もしっかり伸びたことを示している。後続になし崩しに脚を使わせながら、底力が問われる持久戦に持ち込んだ。だから、イスラボニータやネオリアリズム、そして、不利がなければ2着はおろか、ミッキーアイルとも際どい勝負になりそうな手応えだったディサイファなど、2000m前後で結果を出している馬たちが、いかにもマイラーといった馬たちよりいい走りをしたのだろう。

【次ページ】 重たい8日間の騎乗停止処分でも、降着はなし。

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