ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
今季“大ブレイク”DeNA関根大気は何が変わった? 本人が語る“メキシコでの知られざる苦闘”「ファンからの言葉にすごく考えさせられて…」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2023/05/22 11:01
今季、打率3割を大きく上回り、主軸といえる働きを見せる関根。覚醒した感があるが、本人に話を聞くと…
「もがき苦しみながら過ごす日々でしたが、まわりのチームメイトや監督、コーチ、そして街の人たちとの人間関係というんですかね。温かさだったり優しさに触れて本当に感銘を受けたんです。野球の技術的な部分で持ち帰ったモノはたくさんあるんですけど、それ以上に彼らと接することで人生をより良く歩むこと、自分自身を豊かにしてくれる経験をさせてもらったし、今後の生き方を考えるとそっちの方が重要な気もするんです」
情熱的に人生を歩み、家族を愛し、困っている人がいれば助け合い、今を大切に過ごすラテン・アメリカ特有の気質。関根は前回メキシコに行った前年の2018年のオフにドミニカ共和国に渡っているのだが、そこで生きとし生ける人間の根幹に触れ、大きな影響を受けている。関根にとって中南米は、野球人として、いやそれ以上に人間として、ひとつの指標となる大切な土地だ。
いい面を探しつづけながら生きる
関根が現地で悪戦苦闘しているとき、ヤキスのファンから掛けられた言葉がふと耳に残った。
「いい面を探しつづけながら生きる」
この言葉は関根の心にグサッと刺さった。
「たぶん10代ぐらいの子が言ってくれたと思うんですけど、すごく考えさせられましたね。やっぱりネガティブ過ぎると、しなくてもいいようなマイナスなことを想像してしまって、上手く行かないサイクルを作ってしまうんじゃないかって。いい面を探しつづける。どんなことでもいい面はあるはずだから、悪いことがあったとしても、いい面を探しつづけた方がいい。これは野球ばかりじゃなく、どんなことでも一緒だなって」
野球と人生は、言うまでもなくリンクする。太陽の国で受けた啓示は、関根を前向きにさせ、現在への流れを作った。
1打席でも紐解いていけば、確率が悪くなった理由がわかる
メキシコでは最終的に202打席立つことができた。この数字は昨季一軍で立った225打席に匹敵する数字だ。やはりこの経験は大きかったのではないだろうか。