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今季“大ブレイク”DeNA関根大気は何が変わった? 本人が語る“メキシコでの知られざる苦闘”「ファンからの言葉にすごく考えさせられて…」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2023/05/22 11:01
今季、打率3割を大きく上回り、主軸といえる働きを見せる関根。覚醒した感があるが、本人に話を聞くと…
単に自己満足ではなく、謙虚な献身性。任された打席では極限まで感性を研ぎ澄まし、最適解を導き出す。そんな経験に裏付けされた野球センスを発揮を感じさせたのが、4月8日の中日戦(横浜スタジアム)だ。8回2死三塁の場面で、関根は初球で右翼ポール際へ大ファウルを放つが、相手バッテリーが長打を警戒する中、すぐさまセーフティースクイズで意表を突き追加点を挙げた。まさに関根の感性が光ったプレーだった。
「毎打席、状況は違いますし、その都度自分の頭の中の回路はどんどん変わっていきます。これまで僕はミスをたくさんさせてもらってきたので、その経験からミスをせず、確率の高いモノを選択しているだけなんです。とにかく自分のハードルを上げることなく、欲を消して、勝つために自分がやれることをやる。本当、そういう気持ちしかないんですよね」
失敗学と確率論
さもありなん、といった様子で関根は言った。また打席では初球から積極的に振っていくこともあれば、2ストライクに追い込まれたときは徹底的に粘り、ヒットや出塁に繋げている。
「これも確率ですよね。一球見送ってその後勝負するよりは、初球からコンタクトできる確率の高いボールが来たら振るべきだと思いますし、2ストライクの後にしても、とりあえずバットに当てて、前に飛ばす。三振だけ注意をして、とにかく事さえ起こしさえすれば僕の勝ちだという気持ちでやっています」
前に飛ばしさえすれば、何が起こるかわからないのが野球の面白さである。これもまた関根にとってみれば確率なのだろう。
打撃フォームに見受けられる変化
先に関根が突然覚醒したとは思わないと述べたが、一方で変化は見受けられる。毎年のように打撃フォームが変わる関根ではあるが、今季はトップを作るところまでバットが昨年よりも寝ており、また右投手に対してはクローズド・スタンス、左投手に対してはオープン・スタンスで構えている。以前もこのような対応をしていたが、今季は特に顕著に感じられる。