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“ロン毛のエース”高橋光成の知られざる努力の痕跡…雄星から盗んだ知識と休日のリセット術「最近のプチ贅沢は2000円のトリートメント」
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byJIJI PRESS
posted2023/05/19 11:02
4月22日オリックス戦で完投勝利を挙げ、捕手・柘植世那(左)からウイニングボールを受け取る高橋光成
高橋本人は今シーズンの好調ぶりをどうとらえているのだろうか。
「ずっと取り組んできたことがやっとピッチングに結び付いたという感覚です。ウエートトレーニングだったり、ピラティスだったり……」
ピラティス歴は2年になる。
「きっかけは体を柔らかくしたい、自分の思い通りに扱える体にしたいという思いからでした。オフは週に1度。シーズン中も月に1~2回はスクールに行って体を動かします。最初は『こんな難しいポーズ、できないよ』と思った動きが、どんどんできるようになるんですよ。僕にはすごくフィットしています」
体に柔軟性が出てきて、同時に体幹を意識して体を動かす感覚もつかんだ。
「ボールのスピードが上がったのも、ピラティスとウエートトレーニングの成果かな、と。ずっと続けてきたトレーニングが今、形になってきているなと実感しています」
転機は先輩・菊池雄星と自主トレ
きっかけは2018年のオフ、当時ライオンズに在籍していた菊池雄星(ブルージェイズ)と自主トレーニングを行ったことだった。それまでも、生真面目に野球に取り組んでいる高橋の姿は目にしてきたが、自己に厳しく、常に野球で結果を残すことを考え続けている菊池と日々を過ごしたことで、さまざまな知識が加わった。
「練習の内容はもちろんですが、野球や練習に対する姿勢、ウエートトレーニングの重要性などを教えてもらいました。同時にトレーニングやピッチングの技術についてさまざまな知識を持つ人を紹介してもらって、そういった方たちと話をするうちに僕の中では一段階、野球に取り組む姿勢が変わった気がします」
前出のピラティスもそうだが、栄養摂取の方法やデータ分析の重要性を学んだり、ウエートトレーニングに目を向けるなど「何が自分のピッチングに必要か」を考えて行動するようになった。就寝前にスマートフォンを見ないようガラケーに変えたのも、睡眠の質を上げるためだ。
「スマホを持たなくなってから、寝つきがよくなったし、家族と過ごす時間や読書をする時間が増えて、いいことしかありませんよ」と高橋は笑顔で語る。