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“ロン毛のエース”高橋光成の知られざる努力の痕跡…雄星から盗んだ知識と休日のリセット術「最近のプチ贅沢は2000円のトリートメント」
posted2023/05/19 11:02
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
JIJI PRESS
「この間、薬局で一番高いトリートメントを買ったんですよ!2000円ぐらいの。最近の、僕のプチ贅沢です」
今やトレードマークになっているロングヘアについて話していると、高橋光成(26歳)は笑ってそう言った。
「髪の毛は傷みすぎてやばいですね。毛先を少し切らないといけないかも……。“チームロン毛”は今井達也のほかにも羽田慎之介とか、山村崇嘉とか、期待の若手も増えてきています。ちょうどさっきも今井と話してたんですよ。何か、ロン毛にまつわる公式グッズを作れないかって。僕らとお揃いでファンの方が使えるロゴ入りヘアゴムとか(笑)」
今年、入団9年目。髪の毛について屈託ない笑顔で話す姿を見ると、頼もしいエースとなった今でも、素朴な性格はルーキーの頃と全く変わらない印象だ。
捕手・柘植「迷いなくサインが出せる」
今シーズンの高橋は、また一段階、ステージを上げた感がある。
5月13日の東北楽天戦(ベルーナドーム)では先発して7回を投げ、パ・リーグトップタイとなる4勝目を挙げた。毎回、走者を背負うものの粘り強いピッチングで要所を締める。今シーズンの高橋を象徴するような投球だった。2023年シーズンは3年連続となる開幕投手を務め、ここまで7試合に先発して防御率はリーグ4位の1.65(5月18日現在)。4月22日のオリックス戦では、最終打者相手に自己最速となる157キロも記録した。
好調の要因はどこにあるのか。
今シーズン、主にバッテリーを組んできたキャッチャーの柘植世那は言う。
「以前までは相手のバッティングカウントでは、変化球を要求してカウントを整えることが多かったんですが、今シーズンはストレートの球威がアップしたために、そういう場面でもストレートで押すことが多いですね。空振りやファウルも取れるという確信があるので迷いなくサインが出せています。そして、ストレートがいいので変化球も生きる。すべての球種がゾーン内で勝負できる分、フォアボールも少ないのだと思います」