もちろん、相手バッターを抑えるために重要な、各変化球のブラッシュアップも続けてきた。

「新しく投げ始めたカットボール以外は以前から投げていたボールです。去年はスライダーがすごく良くなって、持っている球種のクオリティが徐々に上がってきたという手ごたえをつかめました。フォークボールも高校から投げていたのですが去年、やっと目指しているフォークボールに近づいてきたという感覚があって……。今はしっかりと落差があって三振が取れるフォークボールになっていると思います」

　近年、地道に続けてきた努力のピースが一つずつハマり、高橋が思い描くピッチングの完成図が近づいているのは間違いないだろう。

2013年夏の甲子園で初出場初優勝という快挙を達成した前橋育英高時代の高橋光成（当時高2）。翌年秋のドラフトで埼玉西武ライオンズに1位指名を受けた ©︎Toshihiro Kitagawa/AFLO

テニスにも挑戦「休日は野球から離れる」

「トレーニングの方法などもそうなんですけど、僕は好奇心が旺盛なほうです。『これはよさそうだな』と感じると、いろいろなことをやってみたいと思う。最近はテニスを始めたんです。野球とは直接関係ありませんけど。昨日（休日）も行ってきたんですけど『やりたいと思ったらなるべく早くやろう』というのが自論。あるとき映像でテニスの試合を見ていて『かっこいいなぁ』と思ってすぐにラケットを買いました、アハハ。そういうことが多いですね。思い立ったら行動する」

　トレーニングの一環ではなく、純粋にテニスが上達することを楽しんでいるという。「ラケットの角度のつけ方が難しいけれど、昨日、ちょっと感覚をつかみました」と楽しそうに語る。

　ひと昔前であれば、野球選手は野球のことだけ考えろという世間の風潮もあった。

「僕には野球を離れる時間が必要だし、逆に意識して野球から離れるようにしています」

　一旦、リセットすることで集中力が増すのだと語った。

　そして頼もしさが増したと感じる理由の一つが、高橋が今シーズン、積極的に「優勝」という言葉を口にしていることだ。

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