「駆け引きをして1対1を挑んでくる良い選手」と菅原は試合後にベンラフマの印象を語った。「彼のドリブルの映像をかなり見て、どういう守備をしようかと対策は練っていましたけど、実際に対峙するのは違うので。怖い選手でしたけど、やっていて楽しかった」

ベンラフマとマッチアップする菅原　©Getty Images

　高い位置でパスを呼び込もうとしたのに、なかなかボールが出てこなかったことについては、フラストレーションを感じたようだ。

「試合中もハーフタイムも、何回も出してくれと言いました。まあでも僕らはこういうアウェーの準決勝に場慣れしていないので、しょうがないところもあったかもしれない。でも来週、出さんかったら、（チームメイトを）削りに行くからなって言っときました、冗談でね（笑）。まあでも僕が走れば、仲間が決めるかもしれないし、僕のところにパスがくるかもしれないので、続けるだけかなと」

「優勝しました！」って日本語でめっちゃ言いたい

　そんな風にいたってポジティブなところが、とてもいい。前半終盤にティヤニ・ラインダースのミドルシュートでAZが先制したあと、後半に攻勢を強めたウェストハムが67分にベンラフマのPKで同点とし、その9分後にはCKがファーサイドに流れ、折り返しをナイェフ・アゲルドがヘッド。これを菅原がライン上で右足を折るように上げて弾くも、小さなクリアはマイケル・アントニオに押し込まれてしまった。

「バレんように手を使ったらよかったですね、まあでもVARがあるか（笑）」と失点シーンさえも楽しげに振り返る。もちろんふざけているわけではなく、「ポジショニングは間違っていなかったと思うけど、咄嗟に触ったからには、止め切りたかったですね」と悔しさも滲ませた。

　でも1点差なら、まだまだ可能性を感じてもいる。多くのサポーターが詰めかけるホームでなら、自分たちが得意とするポゼッションスタイルで相手ゴールに迫っていけると、菅原は信じている。今季の欧州戦線に唯一残っている日本人選手は、当然ながら、クラブ史上初のヨーロッパタイトルを狙っているのだ。

「ここまできたら、決勝に行って、優勝しました！　って日本語でめっちゃ言いたいです。このクラブに4年もいて、まだ賞を取れていないし、自分はプロになってタイトルを獲得していない。こういうチャンスがあって、それを掴むかどうかは自分次第でもあると思う。そこは強烈に意識してやっています」

日本代表でも右サイドバックの新鋭として期待がかかる　©Kiichi Matsumoto

4年前のユナイテッドは「抜いていたんだなあと」

　菅原自身、プレミアリーグ勢と対戦したのは、今回で2度目だ。だが4年前のヨーロッパリーグのグループステージで対戦したマンチェスター・ユナイテッドは、明らかに手を抜いていたと感じたという。

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