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プロ野球PRESSBACK NUMBER
“構想外”が人生の転機に…阪神Women前田桜茄が語る女子野球のリアル「フルスイングの魅力を知った」「結婚して終われたら…それが理想なんです」
text by
土井麻由実Mayumi Doi
photograph byHaruka Sato
posted2023/05/28 11:02
虎ポーズで…
「ショボッ…」が自信に変わるとき
自主トレに交ざり、男子のプロ野球選手と一緒にフリーバッティングをすれば、飛距離はとうてい敵わない。その高い技術とパワーを目の当たりにしては打ちのめされ、「ショボッと思いながら心の中で挫折している」というが、約1カ月間のトレーニングを経てチームに戻ると変化を実感した。自身のバッティングが激変し、女子の中では一転、“飛ばし屋“になっていた。
「挫折が自信に変わって、モチベーションが上がるんです。あの自主トレがめっちゃ転機になりました。あんなふうに女子プロを辞めることになって落ちたけど、ある意味、人生最高のスタートになったなと思いました」
新たな前田桜茄の誕生。あの衝撃以来、プロ野球選手の自主トレには3年連続で参加して刺激をもらっているという。
前田は兵庫ブルーサンダーズで1年プレーした後、創設メンバーとして阪神タイガースWomenに入団。俊足ゆえ「1番・レフト」を定位置としているが、その「1番打者像」は独特だ。チームに情報を提供するためにボールを見て球数を放らせる、という意識はないという。
「ストライクゾーンの振れる球がきたら、どんどん振ってチームに勢いをつける。1番打者がこれだけ思いきり振ったら、あとのバッターはどんなスイングをするんだろうと思わせたい」
タイミングが合えば初球からでも積極的に全力で振っていき、その勢いでチームを牽引する“超積極型”だ。
ウエートも増えパワーアップ
体つきも変わってきた。女子プロ野球リーグを辞めた直後は自然と体重が減っていたが、体の使い方を熟知し、トレーニングの知識を得た現在はウエートが増加。
「めちゃくちゃ打球が飛びますね。パワーが強くなった気がします」
俊足にして剛打。そのアンバランスさが今や、前田の唯一無二の魅力になっている。