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プロ野球PRESSBACK NUMBER
“構想外”が人生の転機に…阪神Women前田桜茄が語る女子野球のリアル「フルスイングの魅力を知った」「結婚して終われたら…それが理想なんです」
posted2023/05/28 11:02
text by
土井麻由実Mayumi Doi
photograph by
Haruka Sato
2021年に結成された阪神の女子野球チーム「阪神タイガースWomen」の異色のヒロイン、前田桜茄(はるか)外野手に聞くインタビュー。後編は野球人生の転機となった「構想外」からの再出発と、女子野球選手の「リアル」を明かした。〈全2回の#2/#1を読む〉
2019年秋、女子プロ野球リーグの「愛知ディオーネ」に所属していた前田桜茄に大きな転機が訪れた。リーグの運営資金面の問題などが表面化し、4球団に所属していた71選手のうち36人が退団。前田も、実質的に“構想外”となり、退団を余儀なくされた。
女子プロ野球リーグの運営の厳しさや、その身の不安定さは分かってはいたが、目の前に現実を突きつけられた。兵庫県三田市を本拠地とする「兵庫ブルーサンダーズ」への加入は決まったが、「野球選手」としてのスタイルに迷っていた2020年1月、故郷の沖縄県内で行われていたプロ野球選手の自主トレに初めて参加したことで衝撃を受けた。
フルスイングする魅力を知って…
「体が小さいからといって、小さいことをするな。小さいからこそ大きく動け」
あるプロ野球選手に、こんな助言を受けた。前田の身長は女子野球界でも小さい150cm。一番の武器である俊足を生かしたバッティングを目指してきたが、その逆転の発想に開眼した。
「自主トレに参加して、私のマインドも“大きく飛ばす系”に変わったんです。体を大きく使おう、全力で振ろうって。フルスイングする魅力を知ったし、今も打席の中で中途半端に当てないというのは、すごく意識しています。後悔する打席を少なくできるように、常に積極的なスイングを心がけています」