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プロ野球PRESSBACK NUMBER
【身長150cmのスラッガー】阪神Women前田桜茄が振り返る“紅一点”の野球道「思春期の男の子は大変。子どもやから」珍しい「左投げ右打ち」の理由は…
posted2023/05/28 11:01
text by
土井麻由実Mayumi Doi
photograph by
Haruka Sato
2021年に結成された阪神の女子野球チーム「阪神タイガースWomen」に、異色のヒロインがいる。俊足にして剛打、そして「左投げ右打ち」の変わり種。昨年の全日本女子硬式クラブ野球選手権では、6試合で打率5割、4打点、5盗塁でMVPに選ばれた26歳の前田桜茄(まえだ・はるか)外野手に、その野球人生を聞いた。〈全2回の#1/#2を読む〉
この小さな体のどこに、そんな大きなパワーが秘められているのか。阪神タイガースWomenで最も低い身長150cmでありながら、前田桜茄の打球は女子の中でもことさら遠くへ飛ぶ。小柄で俊足な選手にありがちな「当てる」ことを嫌い、アウトの打球もゴロより外野へのフライやライナーが多いのだ。
昨年は創設2年目にして第17回全日本女子硬式クラブ野球選手権で全国優勝を達成し、前田は大会MVPに輝いた。タイガースWomenで3年目を迎えた今年は技術もパワーもさらにアップし、選手としては円熟期に差しかかる。一方でプライベートでは「美容が大好き」とスキンケアに夢中だったりする等身大の26歳だ。
小学3年で野球部へ「姉は3日でやめたけど…」
常に正直で自然体なところが魅力である前田は、どんな野球人生を送ってきたのだろうか。
沖縄県の宜野座村で育った前田は小学3年のとき、1歳上の姉とともに野球部に入った。姉は3日で辞めたが前田は残った。いつも一緒だった姉と離れても野球を続けたのは、性格的に男子と一緒にいるのが楽だったことと、チームにもう1人いた女子に負けたくないという思いがあったから。そしてなにより、野球が楽しかったからだ。
「ルールもわからなくて、下手くそなんですよ。ゼロかマイナスか、くらいの状態から始まっているから、スキルが上がるスピードが早くて、それが楽しくて辞められなかったんだと思います」