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【身長150cmのスラッガー】阪神Women前田桜茄が振り返る“紅一点”の野球道「思春期の男の子は大変。子どもやから」珍しい「左投げ右打ち」の理由は… 

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土井麻由実

土井麻由実Mayumi Doi

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photograph byHaruka Sato

posted2023/05/28 11:01

【身長150cmのスラッガー】阪神Women前田桜茄が振り返る“紅一点”の野球道「思春期の男の子は大変。子どもやから」珍しい「左投げ右打ち」の理由は…<Number Web> photograph by Haruka Sato

俊足にして剛打。アンバランスさも前田桜茄の魅力の一つだ

異色の「左投げ右打ち」の理由は…

 生まれつき左利きで、左投げだ。ポジションはライトから始まりピッチャー、ファーストと経験し、最終的に外野に落ち着いた。不思議なのがバッティングは右打ちということ。「しっくりきたのが右。右投げ左打ちっているじゃないですか。それの逆なだけ」とはいうが、右利きが左打ちにするのは野球というスポーツにおいてメリットがあるからで、左利きなのに右打ちにするというのはあまり聞かない。

「家族は野球を知らなかったから何も言わなかった。指導者には左にしろと言われて、やってみてヒットも打ったんですけど、しっくりこなくて。結局右にしました」

 右で結果を出し続けたことで、左打ち転向案は立ち消えになった。のちに女子プロに入団したときにもスイッチ転向を勧められたが、「右のバッティングがよくなりすぎて、誰も左をやれって言わなくなりました(笑)」と右打ちを貫いた。俊足なだけに左打席ならさらに安打を稼げたかもしれない。

「もったいないですよね。左でやればよかったなと思います、たまに」

 そんな思いも、実は少しあるようだ。

ロード3kmを毎日…陸上一家の遺伝子

 野球を辞めかけたこともある。小学5年生のときだ。

「サボり癖があって、アップに遅れて行ったり、練習試合はわざと行かなかったりしていたんです。そうしたらお母さんに『中途半端やったら辞めなさい』と言われて、監督に『辞めます』と言いにいったんですよ」

 監督の返答は「次の村内大会に出て決めろ」だった。

 すると、その大会で打撃賞を獲得する活躍をし、初めて地元の新聞に名前が掲載された。

「調子に乗ったんでしょうね。それで続けることにしました(笑)」

 野球の神様が引き留めたのだろう。

 足には相当な自信がある。陸上一家の遺伝子を受け継いだ前田は、短距離も長距離も得意とし、野球とともに陸上にも打ち込んだ。小学生のころは野球の練習から帰ると、祖父がストップウォッチを持って待ちかまえていた。

「毎日ロードを3キロ走らされていました。負けず嫌いなんで、手を抜くことができなくて本気で走りました」

【次ページ】 男子が一緒に練習してくれない…意外な真相は

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