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「私たちはヨシダを信じていた」吉田正尚の“批判を吹っ飛ばす大活躍”に“120億円の仕掛け人”もニッコリ…いま明かされる大型契約のウラ話 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byGetty Images

posted2023/05/09 11:04

「私たちはヨシダを信じていた」吉田正尚の“批判を吹っ飛ばす大活躍”に“120億円の仕掛け人”もニッコリ…いま明かされる大型契約のウラ話<Number Web> photograph by Getty Images

16試合連続安打など好調を維持する吉田正尚。活躍を喜ぶレッドソックスの編成責任者が獲得の経緯を語った

 何よりも素晴らしいのは、開幕直後、吉田がスランプに陥っていた時も、彼の姿勢、態度、表情がこれまでとまったく変わらなかったことでした。ベースボールは毎日のようにプレーするゲームですから、安定感が重要な意味を持ってきます。長いシーズンの中では様々な形でのアップ&ダウンがあるもので、うまくいかない時に周囲に気を遣わせたり、手間のかかる人間性ではないことが大事になります。吉田はそういったタイプではないということを、メジャーでのキャリア開始早々に示してくれました。

 吉田はメジャーリーグの舞台でも快適に過ごし、日々の自分に必要なことが何かをしっかりと理解した選手に見えます。異国の地でも新しいルーティンを整え、その中で即座にいい結果を出していることに感心せずにはいられません。

レッドソックスが大型契約に動いた理由

 吉田の獲得時、まだメジャーでの実績がない選手に5年9000万ドルという大型契約を与えたことで私たちは一部から批判もされました。ただ、理解して欲しいのは、今回の補強策の準備段階として、私たちは長期間にわたって吉田のスカウティングに納得できるだけの時間を費やしてきたということです。

 吉田の長所はまずはストライクゾーンをしっかりと理解しており、選球眼に秀でていること。それに加えて、コンタクトの技術に優れていること。そして、フィールドのどの方向にも質の高い打球を飛ばせること。メジャーでの適応には様々なものが必要になりますが、先ほども話した通り、それらの吉田の特徴は新しい場所で適応を進めなければいけない打者の基盤としては申し分のないものなのです。

 もちろんどんな戦力補強にもリスクはつきまとうもので、海外から選手を獲得するとなればそれはなおさらです。それでも、ベースボールはどこで行われても同じベースボール。吉田の特徴を綿密に調査してきた私たちにとって、彼の長所はNPBからメジャーリーグへの適応も可能にするのに十分だと信じることができたのです。

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吉田正尚
ボストン・レッドソックス

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