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「私たちはヨシダを信じていた」吉田正尚の“批判を吹っ飛ばす大活躍”に“120億円の仕掛け人”もニッコリ…いま明かされる大型契約のウラ話

posted2023/05/09 11:04

 
「私たちはヨシダを信じていた」吉田正尚の“批判を吹っ飛ばす大活躍”に“120億円の仕掛け人”もニッコリ…いま明かされる大型契約のウラ話<Number Web> photograph by Getty Images

16試合連続安打など好調を維持する吉田正尚。活躍を喜ぶレッドソックスの編成責任者が獲得の経緯を語った

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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 ボストン・レッドソックスに新加入した吉田正尚が絶好調の打撃を続けている。開幕直後こそ不振だったものの、4月20日以降は16試合連続安打を継続。一時は1割台だった打率をリーグ5位の.321まで急浮上させてきた(5月8日時点)。

 時を同じくして、開幕前の前評判は高くなかったレッドソックスも5月6日まで8連勝。昨年はオリックスの日本一、今春は侍ジャパンのWBC優勝に貢献した“勝利の使者”は、メジャーでも躍進を続けるチームの牽引者になっている印象がある。

 これほどの活躍を見せられて、昨オフ、吉田に5年9000万ドル(約120億円)の大型契約が与えられた際に一部から飛び出した批判の声もすでに吹き飛んだ。

 レッドソックスがフィラデルフィアに遠征中だった5月6日、チームの編成責任者(Chief Baseball Officer)であるハイム・ブルーム氏に話を聞いた。吉田獲得の陣頭指揮を執ったとされるエグゼクティブは、日本が産んだプロフェッショナルヒッターのどこに期待して獲得を決め、今の活躍をどう見ているのか。

◇◇◇

「なるべく声をかけないようにしていた」

 ここまでの吉田は私たちが望んでいたことをすべてやってくれています。特に連続試合安打を続けている過去数週間の活躍は本当にめざましいものがあります。実はここしばらく、私はなるべく彼に声をかけないようにしていたくらい。せっかくうまくいっているのに、彼のルーティンを乱すようなことはしたくなかったですからね(笑)。

 一時期、ヒットがなかなか出なかった時期はありましたが、彼にもアジャストメントのための期間が必要なことは私たちもわかっていました。最高級の打者が揃うメジャーリーグでも、どんな選手にも好不調の期間はあるもの。吉田に関しても、最初から最後まで常に好打を続けると考えていたといったら嘘になります。

 ただ、厳しい時期を迎えても、吉田とピート(・ファッツェ打撃コーチ)は改善のために何が必要かを比較的短時間で見極め、好結果につなげていってくれました。

 大事なのは適応すること。そして、何かを変えることを嫌がらず、恐れないこと。もともと私たちは彼のスキルの基盤となっている部分を高く評価し、それらはアジャストメントにも生きてくるという確信があったのです。

【次ページ】 レッドソックスが大型契約に動いた理由

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吉田正尚
ボストン・レッドソックス

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