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身長2メートル! 巨人・秋広優人(20歳)がプロ初本塁打で一皮むけた? 松井秀喜の背番号55を継承する”若き大砲”に期待がふくらむ理由
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/05/03 11:04
高卒3年目で初本塁打も放った巨人・秋広優人。身長2メートル、背番号55、左の大砲として期待を担う存在だ
「バットを振れるようになった」
東京ドームで会った評論家の堀内恒夫さんはこう指摘している。
加えていうなら、これまでなら当てに行くようなスイングになっていた際どいコースも、しっかりバットを振りなが粘れるようになっている。
典型的な打席が初本塁打を放った広島戦の3回の第2打席だ。あっさり2球で追い込まれたが、カウント1ボール2ストライクからボール1つを挟んでファウルで5球、粘って最後は遊ゴロに倒れた。
「結構、ファウルにしたり、その辺はやっぱりバットの使い方が上手い人なんだろうなというね。最後にバットのヘッドが遅れてくるというのがバッターとして非常にいいところだと思いますからね。その意味では、そういうモノを持っている選手だと思いますよ」
原監督もスイングの精度が上がってきていると、進化をこう評価する。
松井秀喜が語るスイングの精度「一番大事なのは…」
結局、そのスイングの精度が一軍で通用する選手とそうでない選手の分かれ目だと語っていたのは、秋広が背負う背番号55の“元祖”松井秀喜さんだった。
以前に松井さんと、練習でフリーバッティングをどう見るかという話になったことがある。
松井さんの持論ではフォームを固めるのは素振りで、フリー打撃はボールの捉え方、スイングの精度を確認していく場所となる。
「一番大事なのは、どれくらいの精度でボールを捉えられているかだよね。フリーバッティングで打撃投手の投げる球なら、最低でも8割はバットの芯で捉えられないとダメ。それが9割以上をキープできるようになって、初めて一軍で通用する打者になると思う」
その話を聞いてから、フリー打撃をその視点で観るようになり、秋広も1年目の沖縄キャンプから、そうやって観察してきていた。