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「タケ、今日はお前の日になる」と監督に送り出された通り…久保建英21歳の7点目→“MVP後ひっそり行動”をカメラマンは見た
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2023/05/01 11:02
オサスナ戦後の久保建英。インタビュアーに向けるまなざしが充実を物語る
また久保からのボールをセルロートが身体を張ってキープしクロスを送り込むと、走り込んだオヤルサバルが決定機を迎える。シュートはGKのファインセーブにあったものの、久保、セルロートの距離感の良さを感じさせる攻撃が続いた。
右サイドに入った久保は、終始サンチェスを翻弄。タメを作る動き、また積極的にシュートを狙い、ソシエダのペースを作ることに貢献した。また一進一退の攻防の中、守備時には自陣深くまで戻り相手サイドバックのケアにも奔走していた。
終了間際の88分、メリノの縦パスに久保が走り込む。ここでもサンチェスが対応してきたが、五分のボールを久保は素早く、そして右手で相手を制御することで自身のボールにすると、そのままゴール前まで持ち上がりシュートにつなげた。シュートこそ相手GKに防がれてしまったものの、終盤の疲弊したチームを盛り上げるには十分だった。
そして90分、セルロートが前線でボールをキープし、メリノへとパス。そこからボックス内でメリノからパスを受けた久保は、右足でトラップすると同時に、左足で半歩分ボールを押し出すと鋭い振り足でシュート。詰め寄る相手DFの股下を抜くと、そのままゴールニアサイドを突き抜いた。
久保は、ガッツポーズを見せ、アシストのメリノと抱擁。そのままどこかへ行ってしまいそうな勢いを見せたが、思いとどまると、改めて勝利を決定づけるゴールを祝福した。そして試合は0-2で終了。アウェイでの連敗を止めるとともに、CL出場権争いにおいても大きな1勝となった。
試合後のインタビューでは、交代出場の際、監督から「今日はお前の日になる、ゴールできる」と送り出されていたことを明かしている。見事その期待に応え、今季7得点目を挙げた久保は、途中出場ながらもMVPに選ばれる活躍で、追い縋るオサスナを突き放し、チームの勝利に大きく貢献した。
ひっそりとしたピッチに久保が再登場すると…
ゲーム終了後のピッチでは、改めて国王杯決勝を戦うオサスナを鼓舞するために――ゲーム前の催しに集まっていた2005年の国王杯決勝を戦った際のメンバーが登場するなど、この試合に負けたチームを盛り上げた。