マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「あのとき、なぜ大谷翔平は最初に中村悠平と抱き合ったのか?」WBCであまり語られてこなかった“ヤクルト中村捕手”のキャッチングをホメたい
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2023/04/26 17:02
WBC決勝9回、リリーフのマウンドに立った大谷翔平と話す中村悠平。即席バッテリーでも快投を引き出した
今回のジャパン投手陣は、若手中心の顔ぶれだった。春先ということで、比較的仕上がりの早い若手中心の構成になったのか。もしかしたら、3年後に予定されている「次回」をも視野に入れた人選だったのか。いずれにしても、アマチュアからプロ野球に進んでまだ何年も経っていない投手たちが、もの怖じせずに、渾身の力で猛烈な腕の振りを繰り返すことができた理由の一つに、中村捕手の卓越したキャッチング技術があったことは間違いないところだろう。
WBCと並行するように開催されたセンバツ高校野球。こちらはテレビ映像目線で見ていると、ショートバウンドは体で止めにいく傾向が見てとれる。これは今に始まったことではないが、捕手にもミットという「武器」があって、ミットにおさめてしまうのがいちばん安全な手段なのであれば、ショートバウンドの対処方法に「中村流」を取り入れてみるのも手ではないか。
あれこれ考えながら、大谷翔平、9回表の最後の1球……「140キロのスライダー」まで、中村捕手の「キャッチング技術」に見とれているうちに、侍ジャパンの世界制覇が決まっていた。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。