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「人間としてのレベルが違った」ロッテ藤原恭大は“大谷翔平と吉田正尚”から何を学んだ? 近藤健介に次ぐ打率パ2位…好調の要因とは
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph bySankei Shimbun
posted2023/04/18 11:01
5月で23歳となるロッテ藤原恭大。勝負の1年と位置づけた今シーズンは開幕戦から好調を維持し、近藤健介(ソフトバンク)に次ぐリーグ2位の打率.326を記録している(4月17日時点)
刺激がある。22年ドラフトで、高校卒業後にプロ入りせず大学に進んだメンバーがプロの門をたたいた。先にプロの世界で戦っている身として負けるわけにはいかない想いがある。
「大学から同じ年の選手たちが入ってきた。先にこの世界に入った身。負けられない。今年は絶対に結果を出さないといけない」
そんな勝負の1年。教えを乞うたのは、今季からボストン・レッドソックスに活躍の場所を移した吉田正尚外野手だった。藤原はその理由を「日本で一番の左打者だと思っているので」と実にシンプルに答える。
過去に一緒に自主トレを行ったことのあるチームメートにお願いをして連絡先を聞くと、自ら志願して1月の沖縄自主トレに合流。寝食を共に過ごした。
朝9時頃にホテルのロビーに集合し、ウェート場のある施設まで約2キロ。走って向かうのが日課だった。到着するとストレッチや体幹などをこなし、ウェート。午後からグラウンドに場所を移し、守備練習とランニングを行い、打撃は最後に1時間ほど集中的に行った。
「全部が特殊。今までやったことがないメニューばかりだった。筋肉を作るのではなく、すべて打撃につながるウェート。このトレーニングがどのように打撃に生きるかなどを教えてもらった。瞬発系のトレーニングも多かった。打撃も含めてすべてがトレーニングなのだと教えてもらいました」と藤原は充実した日々を振り返った。
「久しぶりに鳥肌が」大谷翔平のフリー打撃
もう一つ、シーズン前に刺激を受けた出来事があった。3月に名古屋で行われた日本代表の壮行試合・中日ドラゴンズ戦にサポートメンバーとして参加した。
試合前には間近で大谷翔平選手(エンゼルス)のフリー打撃を見た。ピンポン玉のようにスタンドインするフリー打撃に「鳥肌が立つ感覚を久しぶりに感じました」と藤原は興奮気味に言った。直立不動。時間が過ぎるのも忘れて見入った。そして思った。
「努力してもああはなれないと確信した。人間としてのレベルが違った。自分はやはりホームランを狙うのではなく、しっかりとセンター返しを心掛ける中で、時にホームランが出るようなタイプとして活躍しないといけない」
藤原はスーパースターの打撃を、息を飲みながら見つめながらも、改めて冷静に自己分析を行い、自らが歩むべきスタイルを描いていった。
そして次代の侍ジャパンメンバー入りの目標を明言し、目を光らせた。
「2試合だけだったけど、すごい人たちとやれたことは財産。もう一回この人たちとできるようになりたい。今度はサポートではなく本物の侍ジャパンになって、また一緒にやりたいという想いが一層強くなった」