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「人間としてのレベルが違った」ロッテ藤原恭大は“大谷翔平と吉田正尚”から何を学んだ? 近藤健介に次ぐ打率パ2位…好調の要因とは
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph bySankei Shimbun
posted2023/04/18 11:01
5月で23歳となるロッテ藤原恭大。勝負の1年と位置づけた今シーズンは開幕戦から好調を維持し、近藤健介(ソフトバンク)に次ぐリーグ2位の打率.326を記録している(4月17日時点)
それでも誰もが唸るほどの異彩を放つ瞬間は確かにある。プロ2年目の20年、福岡で行われたホークスとのクライマックスシリーズ2戦目で猛打賞をマーク。20歳6カ月でポストシーズン最年少猛打賞記録を樹立した。21年には7、8月度の月間MVPに輝く。これらの瞬間からも飛び抜けた才能を持ち合わせているのは明らかだった。
この若者の才能を高く評価をしていたのが、今季からチームを指揮する吉井監督だ。就任当初、メディアから打線構想を聞かれた際、「4番は藤原も考えている」とコメント。期待の高さを内外に示した。
吉井監督は藤原や安田尚憲内野手(17年ドラフト1位)など若手選手を育てることをチームの優勝と共に自身の監督としての命題と考えている。
「彼らは球界の宝。華のある選手。彼らを活躍させる。それはマリーンズにとっても、野球界にとってもいい事。それは私の使命だと思っている」
そのために対話を大事にしながらも、若手選手がプレーしやすい環境作りを意識する。藤原に関しては明確に「打席で育てる。練習で一生懸命行うことはもちろん大事だけど、それだけではなかなか育たない。試合に出して育つタイプ。持っているものは明らかにいい。一軍の試合に出て、掴んでいって欲しい。投資は必要」と育成プランを語る。
トリプルスリーを掲げた昨季は…
藤原自身も首脳陣、球団、ファンの期待をヒシヒシと感じながら昨オフを過ごし開幕を迎えた。
プロ4年目の昨季はトリプルスリー(3割、30本、30盗塁)という大きな目標に掲げて挑んだが、悔しい結果に終わってしまった。49試合に出場して打率.209、1本塁打、5打点、9盗塁と不本意な成績。「プロ入りして4年間で一番苦しい1年だった。でも、結果がすべて。チームの戦力になれなかったのは悔しい」と唇を噛んだ。
想えば、昨季は1月に新型コロナウィルスに感染。身体を仕上げ、過去にない手ごたえを掴んでいただけに、いきなりの頓挫となってしまった。開幕は一軍入りを果たすも一軍と二軍を行ったり来たりした。8月3日に一軍昇格するものの、3日後には再び新型コロナウィルスに感染し、戦線を離脱。9月2日に再度、一軍に上がり、この年の初本塁打は9月28日のファイターズ戦(札幌ドーム)だった。141試合目、シーズン残り2試合。やっと藤原らしい豪快なアーチがスタンドに飛び込んだが、時すでに遅しだった。
「プロとしてしっかりと身体を整えていかないといけない。身体も技術も磨いて、向上心を持ってやっていく」とシーズン後は巻き返しの一年に向けて強い気持ちを語った。