侍ジャパンPRESSBACK NUMBER

「世界一の瞬間に“ある投手”がガッツポーズ」WBC栗山英樹監督が優勝の約1カ月前にしていた予言…城石憲之コーチが明かす「物語の伏線」 

text by

佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2023/04/17 11:03

「世界一の瞬間に“ある投手”がガッツポーズ」WBC栗山英樹監督が優勝の約1カ月前にしていた予言…城石憲之コーチが明かす「物語の伏線」<Number Web> photograph by Getty Images

世界一が決まった瞬間、ガッツポーズと雄叫びを見せた大谷翔平。実はその1カ月前に栗山監督は予言めいた言葉を城石コーチに伝えていた

「世界一になる瞬間に、あるピッチャーがマウンドでガッツポーズしているイメージが思い浮かんでいるんだよ」

 名前を明かさなかった“あるピッチャー”が、大谷であることは間違いないと思っていた。

「他に誰がいる? 絶対に翔平だろ、って。ただそれを聞いた時、僕には現実的な話とは思えなかったんです。決勝の最後に翔平が投げる? まさか、と。ただ実際にあの最終回のマウンドに翔平が上がった時、1点差でしたが、追いつかれるかもしれない、という心配は一切ありませんでした。もうこのまま試合が終わるんだろうな、こうやってストーリーが完成するんだろうな、と確信していました」

思い出した2016年日本一の光景

 監督とコーチとして戦った日本ハム時代の2016年の景色が頭によぎった。大谷が本格的に二刀流として1年間出続けたシーズン。そのクライマックスは、マジック1で迎えた西武戦で完封勝利を挙げて胴上げ投手になった大谷の姿だった。

「あの年が監督として第一段階の目標が達成された瞬間だと思うんです。そして今回のジャパンも終わってみると結局、栗山監督が思い描いていた通りの結末を迎えた。そう考えると、世界一は必然だったのかなと思います」

アオダモの苗

「野球の神様」を振り向かせ、運すら味方につける。その力は一体どこから来ているのだろうか。城石コーチは思いを巡らせる。

「それだけの思いを選手に対して、野球に対して注ぎ続けているということなんじゃないですかね。栗の樹ファームに植えているアオダモの苗だって10年、20年で育つものじゃない。大きく育ってバットになるのは、僕らが死んでいなくなってしまった後かもしれない。監督はそれくらい先のことまで見据えて野球のことを真剣に考えている。だからこそ、色々なものを手繰り寄せられるんだろうな、って思うんですよ」

<「信念」編とあわせてお読みください>

#1から読む
WBC栗山英樹監督が“村上と心中”を決めた瞬間…城石憲之コーチが振り返る舞台裏「ごめん、代打はないから」「源ちゃんの送球を実際に捕ると…」

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

関連記事

BACK 1 2 3 4
城石憲之
栗山英樹
甲斐拓也
大城卓三
ラーズ・ヌートバー
近藤健介
大谷翔平
吉田正尚
山川穂高
村上宗隆
岡本和真

プロ野球の前後の記事

ページトップ