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侍ジャパンPRESSBACK NUMBER
「世界一の瞬間に“ある投手”がガッツポーズ」WBC栗山英樹監督が優勝の約1カ月前にしていた予言…城石憲之コーチが明かす「物語の伏線」
posted2023/04/17 11:03
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Getty Images
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で14年ぶりに世界一を奪還した侍ジャパン。準決勝での村上宗隆(ヤクルト)の劇的な逆転サヨナラ打の舞台裏から、決勝でリリーフ登板した大谷翔平(エンゼルス)の秘話まで――。内野守備・走塁兼作戦コーチを務めたヤクルトの城石憲之・二軍チーフ兼守備走塁コーチが語った。(全2回の#2/#1を読む)
全ての出来事が物語の伏線になっていた
日本ハム時代から栗山監督と共に戦ってきた城石コーチは、究極の勝負の局面でなんとも言い表せない不思議な感覚を味わうことがある。
「野球って運に左右されるスポーツだと思うんです。もちろん、技術的なことや、勝つための作戦は沢山あるんですけど、一人一人の力ではコントロールできないような運や流れがある。栗山監督と一緒にやっていると、究極の勝負の場面で必ずいい方に転がっていくような不思議な瞬間があるんです。やっている途中ではわからないんですが、全てが終わった後に振り返ると全ての出来事が物語の伏線になっている、というような……」
それは、大団円の瞬間に全ての謎が解き明かされ、あらゆる伏線が回収されるような、鳥肌の立つような感覚だ。WBCの戦いの中では、マイアミで用意されていた劇的な展開がそれだった。
「甲斐に代打出さず」という伏線
準決勝のメキシコ戦。9回裏に飛び出した村上の逆転サヨナラ打に至るまでには、いくつもの分水嶺があった。まずは0-3で迎えた7回、先頭バッターは守備から途中出場の9番・甲斐拓也(ソフトバンク)。劣勢の展開で上位打線へと巡るこの回、何としても点を取りたい場面だった。
「本来なら代打を出したいところで、3人目のキャッチャーの大城(卓三、巨人)も残っていました。僕はそう伝えたんですが、監督はキッパリと『ここは甲斐で行く』と……」