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「東大で一番になっても勝てない」東大野球部のエース井澤駿介が明かす”プロ志望届の真意”「アピールの意味合いが強かったですね」 

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文藝春秋・編

文藝春秋・編BUNGEISHUNJU

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photograph byTakao Fujita

posted2023/04/12 17:01

「東大で一番になっても勝てない」東大野球部のエース井澤駿介が明かす”プロ志望届の真意”「アピールの意味合いが強かったですね」<Number Web> photograph by Takao Fujita

東大野球部のエースとして活躍し、今春からNTT西日本でプレーする井澤駿介。社会人野球からプロを目指す

「東大のバッターを抑えてもまったくプラスにならない」

ーー他大学の同期にも、すごいバッターがいます。ドラフトにかかるような早稲田の蛭間(ひるま)拓哉 (西武ドラフト1位)とか、慶応の萩尾匡也(はぎおまさや)(巨人ドラフト2位)、明治の村松開人(かいと)(中日ドラフト2位)、立教の山田健太(日本生命)、あるいはピッチャーでも立教の荘司康誠(しょうじこうせい)(楽天ドラフト1位)、慶応の増居(ますい)翔太(トヨタ)......。そういう選手たちを、どれぐらい意識していますか。 

井澤 僕はそこと戦うことを念頭にやっています。そういうピッチャーに勝たないといけないし、バッターを抑えないと、試合には勝てない。さっきも自分で言ったんですけど、東大野球部の中で、ピッチャーで一番でもダメだし、東大のバッターを抑えてもまったくプラスにならない。 そこをどう抑えるか、どう勝つかって。 

◆◆◆

 これまでの16年間、野球のためなら嫌なことでも厭わずに努力していた。それが「僕の矜恃です」と、井澤は『僕の野球人生』に書いている。

 秋のリーグ戦直前の9月8日、プロ志望届を提出したときの心境も、こんなふうに記していた。 

「ここまで突出した成績を残したこともなければ、高い能力を持っているわけではありません。 お前じゃ無理だという意見はもっともでしょう。それでも今日まで上手くなりたい。他大の選手に負けたくない。ただその一心で自分なりに努力してきて、僅かでも可能性があるなら挑戦したいという思いが大きくなりました」

 挑戦。これが井澤の野球人生のすべてだ。 

 そこには常に失敗のリスクがつきまとう。しかしながら、その先に成功があると信じている。

 シーズン終了後、井澤は語ってくれた。

「明治戦直前のタイミングで、プロ志望届を出したのは、アピールの意味合いが強かったですね。 秋の最初の試合から、全部見てもらいたかった。自分の能力は、プロに届いていないと思いますけど、プロをあきらめたくない。どうなるかわからないけれど、“より一層、がんばりたい〞という気持ちは芽生えていました」

 プロ以外、考えていなかった。育成でも指名されれば、行くつもりだった......。 ドラフトでは、指名されなかった。慶応の増居翔太や、立教の山田健太も指名されていない。 アマチュアとプロでは見ているものが違うのだろう。

 井澤は社会人野球の名門、NTT西日本に進む。

「まずはそこでがんばらないといけない。最終の目標としては、NPB(日本プロ野球)に行きたいという気持ちは強いですね。ある意味、悪あがきみたいな......。僕の中には勝手に“プロ、大学、高校〞というレベル感があるんですけど、社会人は大学とプロの間か、大学とならぶぐらいのところだと思うんで、もっと上のカテゴリーがあるなら、もちろんそこに行きたい。それがなくなったら潮時というか、終わりじゃないかという気持ちはあります」

<前編から読む>

『東大野球部には「東大脳」がない。 最下位チームの新・戦略論!』(文藝春秋) 書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします
#1から読む
ダルビッシュに憧れた少年はなぜ東大からプロを目指すのか? 東大野球部エース井澤駿介「浪人期間は一回も遊ばず…1日12時間勉強してました」

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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