井澤　そうですね。野球やる以上、念頭にあるっていうか、目標として、プロっていうのを据えていました。

ーーそこはブレなかったんですね。 

井澤　やるからには、そこで戦えるぐらいうまくなることが、自分の目標なんで。 

ーー1年生の秋が終わって、監督が変わりました。東大野球の方法論も変わったと思うのですが、井手さんはどうでしたか？

井澤　本当に言葉数が少なくて、具体的な指導はほとんどありません。ブルペンでちょっと見て、終わったあとにアドバイスがたまにあるっていう感じで、ピッチングに関してはなんにもないです。

ーー野球のことは全部、自分でやるんですね。

井澤　はい。井手監督に変わるっていうタイミングで、僕としてはチャンスだなとは思いました。評価がフラットになるので。

「東大で一番になっても勝てないと、僕は思っていた」

ーー1年生の冬ですね。そのときに、どうやって自分を変えていこうと考えていましたか。 

井澤　チームの中で一番っていうよりも、僕は外の人と比べています。東大にはいろんな人がいて、試合に出てみたいとか、うまくなりたいとか、勝ちたいとか......。試合前にはそれぞれのアピールがあって、投げる人が決まってくる。東大で一番になっても勝てないと、僕は思っていたので、外に目を向けたときに何が足りないのかって考えるところから始めました。

ピンチでも動じない自覚は「ある」という　©︎Takao Fujita

ーー2020年の春季リーグは、コロナの影響で、真夏の8月に延期されました。各チームとも1試合ずつですが、井澤さんは2年生ながら、最初の慶応戦に先発して、好投しています。登板の場面や回数を見ると、井手監督は間違いなく、一番評価していましたね。どういうトレーニングをしていたんですか。 

井澤　浪人期間をもどすっていうのに加えて、筋力アップですね。東大の選手は球が遅いので、どうやって速く見せるか。そういうことを考えて、変化球をおぼえたり。

ーーボールを速くするっていうよりも、速く見せるっていうことを優先したわけですか。 

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