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引退直後に歯科大学を受験…異色のハードラー・金井大旺27歳が語る“2度目の学生生活”「陸上特有の“刺激”を埋められるものを探している」 

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荘司結有

荘司結有Yu Shoji

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photograph byWataru Sato

posted2023/04/08 17:01

引退直後に歯科大学を受験…異色のハードラー・金井大旺27歳が語る“2度目の学生生活”「陸上特有の“刺激”を埋められるものを探している」<Number Web> photograph by Wataru Sato

現在は歯科大生の金井。110mハードルで日本記録も有していた名ハードラーが引退後の学生生活について教えてくれた

「僕のときも泉谷くんや高山さんをはじめ、誰が代表から落ちてもおかしくない状況でした。今も多分みんなが『ちょっとミスしたら出られないかも』と思いながらやっているだろうし、常に競り合う選手が4人以上いる環境がすごくいいのだと。遠征先で部屋を散らかしたり寝坊したり、色んな思い出もありますし、現役時代に関わった選手ばかりなので、全員を応援しています(笑)」

あの刺激を埋められるものってあまりないみたいですね

 今もレースは欠かさずに見ているそうだが、現役生活への未練が湧き出ることはないという。ただ一方で、「走りたいとは思っちゃいます」と率直な気持ちも明かす。

「陸上特有の緊張感というか、スタートから10秒ちょっとで決着がつくあの感じは、刺激的ですよね。見ているだけでアドレナリンが出ます。刺激を求めたいんですよね、やっぱり(笑)。引退後の陸上選手は特に刺激に飢えてしまうらしいんです。あの刺激を埋められるものってあまりないみたいですね。僕もまだ探しているので」

 ただ、今の金井は刺激的な日々を引きずることなく、すでに歯科大生としての生活に専心しているように見える。決して陸上に対してドライなわけではない。むしろ限界まで突き詰めたからこそ、執着なくトラックを去れたのだろう。

【次ページ】 陸上選手の「引退後」をどう思う?

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