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引退直後に歯科大学を受験…異色のハードラー・金井大旺27歳が語る“2度目の学生生活”「陸上特有の“刺激”を埋められるものを探している」 

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荘司結有

荘司結有Yu Shoji

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photograph byWataru Sato

posted2023/04/08 17:01

引退直後に歯科大学を受験…異色のハードラー・金井大旺27歳が語る“2度目の学生生活”「陸上特有の“刺激”を埋められるものを探している」<Number Web> photograph by Wataru Sato

現在は歯科大生の金井。110mハードルで日本記録も有していた名ハードラーが引退後の学生生活について教えてくれた

「子どもが燃え尽きちゃう」環境を変えたい

 ただ歯科大生になった今も、陸上が好きという気持ちに変わりはない。現在は、現役時代に所属したミズノとブランドアンバサダー契約を結び、定期的に陸上スクールを開いている。

 昨年春に設立した「Blue Shoes」では、都内2箇所で小学生にトレーニングを指導している。元々は完全にトラックから離れるつもりだったというが、経験や思いを伝えようとした背景には「幼少期からの競技志向」への違和感があった。

「日本の陸上環境を変えたいなという思いがあるんです。小学生のうちは陸上を楽しんで続けるのが一番だと思うのですが、中には小さいうちからガンガン走らせるチームもあるんですよ。僕の周りでも子どもより親に火が付いてしまうケースがあって、一時的に成績は上がっても、結局子どもが燃え尽きちゃうんですよね。僕は陸上を辞めたいと思うことが一度もなかったのですが、それは純粋に好きで続けていて、誰にも強要されなかったから。だからこそ、自分から進んで練習したいと思える環境を作れたらなと思っています」

まさかの転倒…東京五輪をどう振り返る?

 いずれは中高生にも指導の場を広げ、東京五輪までの経験も伝えていきたいのだという。準決勝で転倒に終わった“あの夏”は、ほろ苦い思い出でもあるはずだ。1年半あまりの月日が経ち、今はどう受け止めているのだろうか。

「東京五輪が終わった直後はやっぱり悔しい気持ちもあったので、自分からあの映像を見返すことってなかったんですよね。家族と一緒に見ていても『早く終わらないかな』と思っていて。でも今は全然受け入れられています。レース動画を見ていても技術的なことを考えちゃいますね。僕ならもっとこうするなと第三者的な目線で見ている気がします」

今の110mハードルをどう見ている?

 金井が引退したのちも、男子110mハードル界は活況だ。共に東京五輪代表の泉谷駿介(住友電工)と高山峻野(ゼンリン)は現役時代にしのぎを削った仲。泉谷は13秒06の日本記録を持ち、高山はそれに次ぐ歴代2位の13秒10を昨年マークした。他にオレゴン世界選手権代表の石川周平(富士通)や村竹ラシッド(順大3年)ら、レベルの高い選手がひしめき合う。

【次ページ】 あの刺激を埋められるものってあまりないみたいですね

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