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25歳で突然の引退表明…スターダム・ひめかが“プロレスラーではない人生”を望んだ理由「天職かなとも思いました。だからこそ…」
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2023/03/31 17:45
25歳の若さでリングを去るスターダムの人気プロレスラー・ひめか。引退を決断した理由や、プロレスへの思いについて話を聞いた
ひめかは引退後の生活を思い浮かべた。
「スターダムに入ったときから、猫を飼っているんです。『我が子』と呼んでいるんですが、しばらくは何も考えずに我が子と過ごしたいなぁ……。『こんな飼い主でごめんね~』とか話しかけても、返事は返ってきません(笑)。得意技の噛みつきだけですね」
まだ25歳。プロレス業界とはまったく関係のない仕事に就くことをイメージしているようだ。
「メイク関係の仕事や、子供の写真を撮るフォトスタジオで働いてみたいな、とか、いろいろ想像を膨らませています。あとは地方の静かなお菓子屋さんとかもいいな、って。東京と違って、空気がのんびりしているところがいいです」
生まれ変わったら、またプロレスラーになりますか?
ひめかは都会の喧騒から離れたいのかもしれない。一方で、プロレスラーとして過ごしてきた時間を特別なものだったとも感じている。
「正直、自分のことをプライベートではかわいいとは思えないんですけど、リングに立つ“プロレスラーのひめか”の写真を見たら『かわいいな』と思える。常に自信があるわけではなくて、やっぱりプロレスラーのひめかと素の自分には差があるんです。よくプロレスラーとしての発言に対して『性格悪そう』とか言われるんですけど、『素の私は意外と性格いいのにな』と思います(笑)」
あらためて、ひめかは「恵まれていました」と自身のキャリアを振り返る。
「体が大きいから、それだけで存在感がある。顔はベビーフェイス。ジャンピング・ニーもある。『私、努力していないな』って。練習はしましたけど、気づいたら“ひめか”が確立されていた。天職かなとも思いました。だからこそ、潔くやめられるのかな……。もし人一倍努力してきたら、やめられなかったかもしれない。つらかったのは、ジュリアにしごかれていた頃かな。ジュリアは鬼でしたよ。それか悪魔(笑)。でも、それはジュリアのやさしさなんです。感謝しています」
最後にひとつ聞いてみた。もし生まれ変わったら、またプロレスラーになりますか、と。
「プロレスラー、やると思います。今度はもっとがめつく。ベルトを巻いて、トップを取って、25歳で引退します」
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