濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
再試合は「するか、バーカ!」ジュリアvs雪妃真矢の“荒れに荒れたスターダム王座戦”は何を残したか?“嫌い同士の両想い”2人が語った本音
posted2023/03/31 17:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Essei Hara
「リアルを見せたい」
スターダム最高峰の“赤いベルト”ワールド・オブ・スターダム王者であるジュリアは、何度か筆者にそう語った。
昨年12月、朱里を下して赤いベルト初戴冠。団体の頂点に立つ選手として女子プロレス、スターダムを世に広めることを最大の目標としている。そのために重視しているのが「リアル」だ。
初防衛戦の相手は鈴季すず。アイスリボン所属時代、すぐ下の後輩で寮でも相部屋だった。ジュリアのスターダム移籍によって“置いていかれた”形のすずもフリーになり、ジュリアを標的にスターダム参戦を果たす。
昨年10月、最初の一騎打ちはジュリア曰く「姉妹喧嘩」だった。だが2月のタイトルマッチではわだかまりなく全力で闘い、ジュリアが防衛。試合後のバックステージではアイスリボン時代のタッグパートナー、テキーラ沙弥との再会も。号泣しながら抱き合う2人の姿もまた「リアル」だった。
2度目の防衛戦も“元アイスリボン”対決に
3.4代々木第二体育館大会、2度目の防衛戦も元アイスリボン対決になった。ジュリアが挑戦者に指名したのは雪妃真矢。彼女も昨年からフリーとなり、今年1月からスターダム参戦。雪妃の参戦が発表された記者会見の時点からジュリアは噛みついた。
雪妃が「嫌い」だとジュリアははっきり言った。思い出すのも嫌な出来事がいくつもあったという。ジュリアにとって雪妃は、気持ちが見えない、通じない先輩だった。
「本音が分からないんですよ、昔から。この人は私に本気で話してないなと」
嫌われている、という自覚は雪妃にもあった。ジュリアがデビューして1年が経つ頃、雪妃はアイスリボンの選手会長に就任している。後輩への注意、指導、時には叱責。団体のために“嫌われ役”を買って出ていた。
「だから私は、ジュリアだけじゃなくみんなに嫌われてると思ってました。口うるさい、うざい先輩だったでしょうね」