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「(開幕投手は)察してはいました」過去2戦2敗、DeNA・石田健大30歳が目指す“3度目の正直”「大事なのは“吸い込まれない”こと」
posted2023/03/27 11:03
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Sankei Shimbun
3度目の開幕投手――。
『横浜頂戦』のチームスローガンのもと、25年ぶりとなるリーグ優勝・日本一へ向けオープニングゲームを任された横浜DeNAベイスターズの石田健大の表情はいたって冷静だ。
(監督から)そんな感じの雰囲気が出ていた
「過去2回よりも落ち着いて気負うことなく調整ができていると思います。特別な試合であることは間違いないのですが、普段と変わらないメンタルで投げられればいいなって」
静かに漂う自信。泰然自若の石田が、そこにはいた。
三浦大輔監督がメディアに開幕投手を発表したのは開幕を2週間後に控えた17日のことだ。その2日前、石田は指揮官から「頼んだぞ」と伝えられた。その瞬間のことを石田は思い出し、少しだけ笑みを浮かべた。
「(監督から)そんな感じの雰囲気が出ていたので察してはいましたけど、言われたときは素直に嬉しかったですよね」
僕だけが『開幕だ!』という気持ちではない
初の開幕投手を任されたのはプロ3年目の2017年、相手はヤクルトだった。神宮球場には冷たい雨が降っていた。初めて経験する大舞台は、6回を投げ3失点で黒星を喫した。
「すごく緊張したのを覚えています。先制を許してしまいチームを苦しくさせてしまった。打線が追い上げてくれたのですが、自分としては、もっとやれたことがあったのかなって今でも思っていますね」
翌2018年にも任され、舞台は11年ぶりの本拠地開幕となった横浜スタジアム。石田自身は前年の経験もあって緊張することなくマウンドに上がることができたが、久しぶりの開幕ハマスタ、どこか場の雰囲気が浮足立っていた。ひとり目の打者で、この年に加入した名手の大和がエラーをするまさかの展開。石田はリズムを崩しフォアボールとデッドボールを与えて失点。その後も味方のエラーが重なり5回5失点(自責点2)でマウンドを降りている。
「理解したのは僕だけが『開幕だ!』という気持ちではないということです。野手の方も緊張から一歩目が遅れたりするんだって思えたし、逆に自分だけ気負い過ぎることはないと感じられたのは、いい経験でしたね」
大事なのは、そこに自分が吸い込まれないこと
誰もが冷静さを保とうと努めるが、思いがけずほころびが出てしまうのも開幕戦だということを石田は理解している。