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「1レースで13億円稼いだ」パンサラッサ、では一口馬主の“配当金”はどれくらい? 出資者を直撃「トータルは余裕でマイナスです(笑)」
text by
曹宇鉉Uhyon Cho
photograph byGetty Images
posted2023/03/25 11:01
1着賞金1000万ドル(約13億円)のサウジカップを逃げ切り、歓喜に沸くパンサラッサ陣営。そのとき、日本でも出資者たちの喜びが爆発していた
――少年時代から野心を秘めていたんですね(笑)。そのころ、サイレンススズカのほかに好きだった馬はいるんでしょうか。
ステイゴールドです。負けても負けても懸命に走り続ける姿に魅了されました。パンサラッサにしても、サイレンススズカにしてもそうですが、初めから大活躍した馬ではないじゃないですか。いくつもの挫折を経て成長していった馬に、自分の人生を重ねてしまうというか……。なかでもステイゴールドは特別でした。一口馬主として最初に出資したのも、社台レースホースのステイゴールド産駒の牡馬と牝馬でしたね。あの縦縞の勝負服に憧れた人間にとって、「社台のステイゴールド産駒」というのがなにより重要だったんです。
いま、僕が個人で所有している馬に名古屋競馬で活躍してくれているブレーヴジャーニーという馬がいるんですが、馬名からもわかるようにドリームジャーニー産駒で、ステイゴールドの孫なんです。しかも祖母は2008年のエリザベス女王杯を勝ったリトルアマポーラ。サラブレッドオークション(競走馬のネットオークション)で目にした瞬間から、「絶対にこの馬だけは買う」と。落札価格は80万3000円でしたが、決して高いとは思いませんでした。
「矢作先生を信じていました」サウジカップの興奮
――あらためてパンサラッサについて聞かせてください。まず世界を驚かせたのは昨年のドバイターフ(ロードノースと1着同着)だと思いますが、レース前から勝てると思っていましたか?
それなりに人気になってはいましたが、正直、出資者からしても「まさか勝つとは」という驚きのほうが大きかったです。もちろん勝ってほしい気持ちはありましたよ。でも、自分が出資した馬があの舞台で逃げ切るなんて……。個人的には天皇賞・秋のあとに走った香港カップに期待していたんですが、10着に負けてしまった。変な話ですが、あまり期待を集めていないときに驚かせることが多い馬なのかな、と感じています。
――では、サウジカップもそこまで期待はしていなかった、と。
いや、もちろんレース前はワクワクしましたよ(笑)。大きな舞台ですし、賞金額もすごいし、なにより矢作先生の判断を信じていましたし。マルシュロレーヌとラヴズオンリーユーをブリーダーズカップに遠征させて、勝たせた方ですから。矢作先生でなければ、そもそもサウジカップには挑戦していなかったと思います。