――逃げ馬としてはあまりスタートがうまくない印象のパンサラッサですが、サウジカップでは好発を決めましたね。

　あの瞬間、「これはもしや……」と思いました。道中は期待半分、不安半分といった感じでしたが、直線を迎えたとき、ジオグリフのルメールの手が動いているのに対してパンサラッサは持ったままだったので、さすがに興奮を抑えられませんでした。深夜だったので自重しましたが、叫べるものなら間違いなく叫んでいたでしょうね。カントリーグラマーが差してきましたが、残していたのはわかりました。レース後は取り急ぎ、まだ満口ではなかった弟のロディニアに出資しました（笑）。

パンサラッサでサウジカップを逃げ切り、喜びを爆発させる鞍上の吉田豊　©Getty Images

賞金は13億円、一口馬主が手にする金額は…

――素晴らしい衝動買いです（笑）。サウジカップは約13億円という規格外の賞金に注目が集まりましたが、2000分の4口出資している森本さんには、実際のところどれくらいの配当金が支払われるのでしょうか。

　諸々引かれて、だいたい120万円くらい（1口あたり約30万円）だと思います。1レースでこんな金額を稼いでくれるなんて、想像もしていませんでした。これだから一口馬主はやめられないな、と。ただ、サウジカップデーはバスラットレオンが勝ったあたりから酒量が増えていき、翌日起きたときに「なにもかも夢だったんじゃないか？」と不安になりました（笑）。正直、「パンサラッサは5着以内に入ってくれれば御の字」くらいの気持ちでしたから。

――3月25日のドバイワールドカップでパンサラッサが4着以内に入れば、日本馬の歴代獲得賞金ランキングで首位に立ちます。もしパンサラッサに言葉をかけられるなら、どんなことを伝えたいですか。

　それはもう……本当に感謝しかないですよね。「素晴らしい体験をさせてくれてありがとう」と。結果はさておき、ドバイはとにかく無事に回ってきてほしい。そして矢作麗さんと矢作先生にもあらためて感謝です。中学生のころに抱いた馬主になるという野望は、「矢作先生が定年を迎えるまでに中央競馬の馬主になって、愛馬を預かってもらう」に更新されました。

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