――競馬を好きになったきっかけも逃げ馬だったんですね。しかしそんな子供にとって、サイレンススズカが夭折した1998年の天皇賞・秋は言葉にならないほどショックだったと思います。

　正直、ショックすぎて理解できなかったというか、受け入れられなかったですね。あれから25年が経って、いまパンサラッサのような馬に出資できているのは奇跡みたいだな、と。ダビスタでも根性の上がらない「単走」調教ばかりやって大逃げ馬を作っていた（注：スピードが高く根性のパラメータが低い馬ほど大逃げしやすい仕様があった）くらいですから。去年の天皇賞・秋の大逃げは本当に興奮しました。イクイノックスにも出資していたので、結果的に出資馬のワンツーフィニッシュだったんです。レースが終わったあと、思わず嬉し泣きしてしまいました。

大逃げで場内を沸かせたパンサラッサをイクイノックスが差し切った天皇賞・秋　©JIJI PRESS

一口馬主と地方馬主の費用は「1年に1000万円」

――ブログで公開されていた出資馬の一覧を拝見しました。パンサラッサやイクイノックス、バスラットレオンのほかにも、ヴェルトライゼンデやアリーヴォ、ピースオブエイトにアナザーリリックと、重賞馬がズラリと並んでいて壮観です。これだけ活躍馬がいると、配当金もすごいことになっているのでは……？

　去年から今年にかけては出資馬が大活躍してくれたお陰でプラス収支になっていますが、過去数年のトータルは余裕でマイナスです（笑）。地方競馬の馬主もやっているので、だいたい1年に1000万円は競馬に注ぎ込んでいまして……。馬券はほとんど“お遊び”でしか買っていないんですが、ご存じのように競走馬というのはとにかく維持費がかかりますから。

――競馬に1000万円……。やはり相当な収入がなければ厳しそうですね。

　お金をめちゃくちゃ稼がなければいけないので、別の業界から不動産関係の仕事に転職して、2020年に独立しました。決して仕事が嫌いなわけではないですが、「競馬のために、とにかく稼げる仕事をしなければ」というのが最大の動機でありモチベーションです。夢は中央競馬の馬主になって、「リアルでダビスタをする」こと。中学生のころは競馬関係の仕事にも憧れていましたが、「どうせなら口取り式でドヤ顔をしているオッサンになりたい」と思ったんです（笑）。

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