欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「バルサがメッシ退団後初のリーガ制覇」間近なクラシコの“喜びと憎しみ、一瞬のリスペクト”を撮った「18歳ガビが倒れたレアルDFを…」
posted2023/03/25 17:01
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
3月19日、リーガ26節FCバルセロナ対レアル・マドリーの撮影に赴いた。
〈El Clasico -クラシコ-〉
伝統の一戦と謳われる、世界で最も注目を集めるカードの一つだ。
またこの一戦は、今季リーガの行方を決定付ける可能性が生まれるものでもあった。リーガ首位に立つバルサと2位マドリーのポイント差は9。バルサが勝利した場合の勝ち点差は12となり、残り試合数12を考えると、マドリーにとっては極めて難しい状況になる。勝ち点3以上の価値を懸けた、まさに決戦といえた。
ロナウド、メッシがいなくなった新時代のクラシコ
この日カンプノウの観客者数は9万5745人に上り、世界有数の観客席数を誇るスタジアムはびっしりと埋まった(改修工事中のため、現在のMaxは9万5877人)。
またキックオフを待つピッチ脇は、現地からの生中継をする各国レポーター、TVクルーでごった返していた。日本でのリーガ放映権を持つWOWOWクルーの姿も目にすることができた。
現地時間21時にキックオフされた一戦は、前半9分、ビニシウスのクロスがバルサDFアラウホに当たりそのままゴールに吸い込まれ、マドリーが先制。激しい攻防が繰り広げられた前半終了間際45分、この日先発セルジ・ロベルトのゴールでバルサが追いつきハーフタイムを迎えた。
そして結末は、後半アディショナルタイムに途中出場のケシエがクロスを押し込み、スタジアムを包む熱狂の中、2-1でバルサが勝利。2021年夏にメッシが退団して以降、初となるリーガ制覇に大きく近づく勝利となった。
クリスティアーノ・ロナウド、そしてメッシも居なくなったクラシコだが、今最も注目を集めるのは、バルサのウルグアイ人DFアラウホとマドリーのブラジル人ウイング、ビニシウスのマッチアップだ。
今最も旬なドリブラーの1人であるビニシウスは、現在22歳ながらベンゼマと見せるコンビネーションも円熟の域に入ってきている。リーガだけでなくCLの舞台でもその活躍は、アウェイの舞台において一番のブーイングの対象となる。
もちろん、人種差別的な野次は言語道断だ。しかしアウェイの地で浴びるブーイングは、一番の脅威として認められたことの裏返しであり、一握りのスターだけが与えられてきた勲章でもある。
クラシコ撮影前に決まる“運命のポジショニング”
その彼を、3月2日、国王杯準決勝1stレグとして行われたクラシコで、完封したのがアラウホであり、この2人の再戦の結果が大きく試合を左右すると思われていた。